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夏休み-88 [花鈴-09]

 そんな高齢者のアイドル、藤井さんとは仮設店舗の見学に行った時に話をした。

「藤井さんは高齢者に人気だそうですね。」
「はは、皆さん花鈴姫の話などをしてくれますが、自分はそんな話をただ聞かせて貰ってるだけです。」
「途中から自分の身の上話とか子どもがここを出て行ってしまったとかに代わって行くのでしょ?」
「ですね、ある意味結構な個人情報を知ることになっています。
 姫さまもお年寄りの話を聞いておられるそうで。」
「ええ、ただ五年生の女の子に話す内容には限りが有るので、私が本当に知りたい情報にはたどり着けないのです。」
「どんな情報を知りたいのです?」
「息子に対する愚痴とか諸々の不満を知りたいのですが私では聞き出せなくて。」
「でしょうね、小学生に愚痴をこぼすとしたら認知症の人ぐらいだと思いますよ。
 自分が聞かせて頂いた愚痴などを整理しておきましょうか?」
「お願いします、お礼は何が?」
「そうですね…、今度のキャンプで歌って頂くと言うのは如何でしょう、ギター伴奏は自分がします。
 YouTubeチャンネルで歌ってるのを見て是非生で聴かせて頂けたらと思っていたのです。」
「そんなことで良いのなら喜んで、曲はどうしますか?」
「姫さまが決めた曲を教えて下されば楽譜はこちらでダウンロードしておきます。」
「キャンプの様子を撮影することになっているので、ちょっとしたサービスにもなるのかな。」
「それで、皆さんから聞かせて頂いた話ですが、誰からどんな話をと個別にまとめるか、皆さんのお話を大きくまとめるかどちらが良いです?」
「そうね、出来れば個別にお願い出来ると嬉しいのだけど。
 うちの社員は我が社に関係する人達のデータベースを構築し始めていてね、社外には漏らさない極秘資料としてサービス向上に使うつもりなの。
 例えば趣味でソートすれば同じ趣味を持つ人を確認出来たりとか。」
「成程、趣味の話をしていて、それなら誰々さんの仲間なのですねと話したら、その人と趣味が同じだと言うことを御存じなかったことが有りましたので良いと思います。
 個人情報と言っても大声で本人が話してることや近所の人達が普通に知ってること、それでもまとめておけば役に立つ発見が有るかも知れません。」
「でしょ、作り話が混ざるかもだけど、データが蓄積されて行けば虚言癖の人だと確認出来るの。」
「はは、確かに、話が徐々に大きくなって行く自慢話も有りましたからね。」
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