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夏休み-76 [花鈴-08]

 株式会社花鈴は移動販売を手掛けている店とお年寄り向けデイサービス施設の買収から始まった。
 それぞれのサービスを受けてる人達には従業員の待遇改善を目標にしているとはっきり伝え、野菜の寄付など協力を求めたが、サービス向上に向けた提案も受け付ける。
 私が部落の訪問を始めた夏休みは動き始めたばかりだったが…。

「移動販売に同行してみて如何でしたか?」
「田中社長、皆さん思っていたより新会社を好意的に受け止めて下さっていて安心しました。
 肉や魚と日用品は移動販売に頼り切っているけど自分達が食べる野菜は余ってるそうで、世話になってる人達の生活が良くなるのなら栽培する量を増やしても良いと、若者が職を求めて都会へ出て行くのを止められるのなら協力を惜しまないと言って下さる方もみえました。」
「花鈴姫の目で見て、それが本心だと感じられましたか?」
「子どものいない集落で私のことを知らない人達でしたが、移動販売に対する感謝の気持ちを感じられました。
 私達の買収に応じて下さったオーナーを尊敬されているとか。」
「移動販売に関しては利益の出ないボランティアに近いことをされていましたからね、三人の従業員も安い給料で。
 免許証の返納を考えるお歳になられていたので良いタイミングでした。」
「何としても新しく建てる店を成功させて皆さんの給料を上げたいです。
 まずは田舎だから給料が安いと言うイメージを無くして行かないと。」
「ですね。」
「今日は収穫が有ったのですよ。
 放置されて荒れた竹林が有りましてね、持ち主が確認出来、竹もタケノコも自由にして構わないと。
 念の為契約書を作成して、年間千円ぐらいでどうでしょう?
 キャンプ場から近いのです。」
「どう活用して行くおつもりで?」
「大学生の山村実習の一環と称し、竹を間引いて綺麗にして貰います。
 竹はそのままではあまり売れないかも知れませんが、竹細工の材料にし観光客向けの商品を作り需要を見ます。
 製造は遊びの一環として取り組んで貰います。
 勿論タケノコは売ります。
 荒れているので商品価値の高いものは収穫出来ないでしょうが、小さくてもタケノコに違いないと思うのです。」
「成程、大学生は動いてくれるのでしょうか?」
「徳沢さんが田舎暮らしを体験するサークルを立ち上げてくれたのです。」
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