SSブログ

徳沢-53 [花鈴-06]

 消防団の山崎さんは、この時間には自分の作業を終えている。

「おっ、花鈴ちゃん、火遊びはしてるかい?」
「はい、最近はキャンドルを灯したり、お香を焚くぐらいですが、そろそろ畑でまともなバーベキューを、先日は買って来た野菜を焼いたのですが、やはり自分達の畑で採れた野菜を楽しみたいですね。
 えっと、こちらは徳沢さん、学校関連の調査研究で来ている大学生です。」
「よろしくお願いします。」
「今日は?」
「山崎さん、彼を消防団で鍛えて欲しいのです。」
「消防団に興味が有るとか?」
「いえ、全く興味は無いのですが、都会で暮らして来たので、山で暮らす人達のことを何も知らないのです、その辺りを訓練の合間にでも教えてあげて欲しいと思いまして。」
「成程、徳沢さん、訓練は慣れないと大変だけど覚悟は出来てる?」
「はい、全く経験したことの無いことなのでご迷惑かも知れませんが、花鈴姫からは成長のチャンスだと言われています。」
「なんだ、うちの子同様、花鈴ちゃんのお世話になってるのだな。
 でも、花鈴ちゃん、どうして消防団なんだ?」
「ここで暮らす人達と触れ合うなら消防団が一番でしょ、徳沢さんは農民や木こり、猟師と話したことが無いのですよ。
 それで、ここの子ども達の教育を研究出来ると思います?」
「大きくなって町へ働きに出る子も多いが…、うん、田舎もんの気持も分かって欲しいかな。
 消防団の活動を体験しながら団員と交流ということで良いのだな?」
「無理をさせて怪我とかはダメですけどね。」
「勿論だ、それぞれにコツが有ると言うことを知って貰わないと。
 で、徳沢さんは火遊びをどれぐらい経験して来たのかな?」
「えっと、花火とかを含めての火遊びなのですよね?」
「ああ、キャンプ場で食事を作るのも火遊び、まあ、火事を起こして悲惨な目に遭ってしまう火遊びや、男女の…、おっと、そっちはどうでも良いが、身近な火で有っても軽んじることなく扱うことの重要性を学ぶための火遊びは花鈴ちゃんに言われてから、子どもの教育として重視するべきだとなってね。」
「そうでしたか、自分の考えて来た教育は学習面ばかりに偏っていたのでは無いかと指摘されまして。
 子どもが成長する過程で好奇心から火遊びをして火災、では学習どころでは有りません。
 そう言ったことも含めて学ばせて下さい。」
nice!(11)  コメント(0) 
共通テーマ:趣味・カルチャー

nice! 11

コメント 0

コメントを書く

お名前:[必須]
URL:[必須]
コメント:
画像認証:
下の画像に表示されている文字を入力してください。