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徳沢-52 [花鈴-06]

 徳沢さんは誰もが大学へ進学すると感覚的に思っていた様だ。
 勿論知識として中卒や高卒で就職する人達のことを知ってはいたが、私立小学校に通い周りの全員が大学に進学する環境で生きて来たのだから仕方のないことだと思う。
 ただ、様々な価値観を持つ人達によって構成される社会を考えたら視野が狭かったと言わざるを得ないので、その辺りの話をやんわりと話させて貰ったのだが…。

「花鈴姫、昨日は色々教えて頂きまして有難うございました。」
「大した話はしてないけど、寝不足?」
「昨夜は姫さまから教えられたことを考えていたら眠れなくなりまして、自分なりに色々考えてここでの研究実習に臨んだつもりだったのですが、根本的な所で自分の甘さに気付かされまして。
 ここで暮らす人達の価値観に触れる為にも、消防団の訓練に参加させて頂く話を進めて頂けるでしょうか?」
「ええ、皆さん喜んで下さるでしょう。
 見学では無く体験することの意味は大きいと父も話していましたので頑張って下さいね。
 今日は畑作業お休みだから観光課に挨拶に行ってから消防団の幹部に会いに行きましょう。」
「歩いて?」
「ええ、近くです。」

 観光課の課長に、今は四人だけの大学生が夏休みには増え、この地を盛り立てることを考えてくれると話したら喜んでくれた。
 徳沢さんはそのリーダーとして紹介。

「徳沢さんは花鈴ちゃんに色々教えてあげているのですね?」
「い、いえとんでもないです、自分は花鈴姫から教えられるばかりですが、それだけでなく学生の宿泊や自分の体験プログラムまで考えて貰っているのです。」
「はは、花鈴ちゃん、見返りは得られたのだね。」
「ええ、畑仕事に関わる人数が増えましたので一人当たりの作業量が減りました。」
「この後は?」
「消防団の山崎さんに徳沢さんの訓練参加をお願いに行きます。
 大学生の人達には消防団の必要性をしっかり理解して貰い、キャンプ場が出火元にならないように気を付けて貰わなくては行けません。」
「そうだな、とても大切なことだ。」
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