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五月-49 [花鈴-05]

「人を大切にする企業が本社移転を意識し、社長の家をここに建てる所から始めたのだけど、それを地元の会社に依頼したことで、この地を少しだけ潤すことが出来たの。
 そこから本社移転や寮の建設まで極力地元が潤うことを考えて発注して来たから信頼されてるし、土地に関しての相談も受けてる、荒れた森をお金を掛けて整備する計画も進んでるのよ。」
「単に本社を移転するだけではないとは聞いてたけど。」
「父はここの環境を守りたいと考え動いて来たの、だから徳沢さん達がここでの活動拠点を広げたいと考えたら、相談に乗ってくれる人はいるわ、本気度を示し出来ればここの活性化に協力すると意思表示してくれたらね。」
「それを花鈴姫が仲立ちしてくれるとか?」
「徳沢さんは教育を考えてここに来ているのだろうけど、過疎地の有効活用を考えてる学生さんはいないのかしら?」
「いない訳ではない、自分がここでの実習のことを話したら色々な形で興味を持つ人はいたからな。」
「小枝子さんはここで暮らし始めてから、不便なことや不便で無いこと、都会暮らしでは味わえない体験とかを発信し続けているのだけど。」
「ああ、ここに来る前から見てた、車がないと何かと不便だけど、今はそれだけかもって思ってる。
 自分達はネット環境さえ整っていれば学習も問題なくこなせるからな。」
「そうね、私は自分専用のパソコンを手にしてから世界が広がったわ。
 ここでのハンデとしたらプロの生演奏を聴きに行くのが大変なことぐらいかしら。
 演奏会は夜が多いから、聴きに行こうと思うと一泊することになるの。」
「そういったことを楽しみだと思う人もいるみたいだよ、より想い出が残るそうでね。」
「それは有るかもね、たまに食べるソフトクリームをより美味しく感じたり。
 都会に比べたら不便なことも有るけど、夏休みの間だけでも、ここでのんびり暮らしてみたいと思う学生さんはいないかしら?」
「研究室の連中は小学校が休みでも来たいと思ってるかも知れない、遠藤さんはここが気に入ったそうで、研究には関係ない情報も仲間に伝えていてね。」
「なら夏休みを過ごせる家を用意したら需要は有るのかしら?」
「用意出来るの?」
「需要が有れば過疎化を何とかしたいと考えてる大人達が動いてくれるわ、食事は相談ね。」
「そうだな、打診してみて報告するよ、我々の調査研究でお世話になってる土地のことを、自分達はもっと知るべきだからな。」
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