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五月-45 [花鈴-05]

「どうだ、花鈴、学生達のことは知れたか?」
「うん、お父さん達に手伝って貰って良かったと思う。
 私達に対する調査研究って絶対上から目線になるでしょ、それに負けない為に私達は大学生を研究し分析するのだけど、英語が武器になると分かったから、もっとLilyに教えて貰って私の英会話力を伸ばすわ。
 ねえ、ひろっちは英語、どう?」
「うちの母は、高いお金を払って英会話教室に通っても大して話せない人がいるのだからLilyに感謝しなさいと話していました。
 母は留学していたので、最近は家でも英語が飛び交うことが有るのですが、妹はまだ日本語すら怪しいので微妙なのです。」
「花鈴、親の都合で日本に来る子の中には、日本語も母国語も中途半端になる子がいるそうだから気を付ける必要が有るのだよ。」
「分かるわ、生まれてからずっと日本で暮らしてる日本人の子でも日本語が苦手そうな子がいるもの。
 人それぞれだからね。」
「それで花鈴達は大学生連中とどう向き合って行くつもりなんだ?」
「そうね、英会話能力の向上は考えて上げたいけど、まずは他の教科に対する知識を確認しないと。
 大学受験に向けて沢山学習したのだろうけど、野菜を育てられなかったら自給自足は出来ないでしょ。
 社会経済が破綻しても自給自足出来れば生きては行ける、彼らがその辺りのことをどの程度理解しているのかに興味が有るの。」
「少し上から目線になってないか?」
「彼らの挨拶は何か選ばれて来たみたいな感じで微妙だったの、失礼な話もしたし。」
「どんな?」
「学力が低くても、とかね、そんなの私達に関係ないし、そもそも子どもと向き合う立場の人が全校生徒の前で口にして良い言葉ではないわ。」
「成程、それで英語力の確認からか。」
「農業に必要な知識も学んで貰わないとね。
 まあ、質問したら私達が何でも簡単に答えてくれると考えていそうだけど、それでは彼らの為にならないでしょ。」
「かもな、花鈴達の力で彼らを成長させてやってくれ。」
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