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五月-43 [花鈴-05]

 五月の半ば大学生達が小学校へやって来た。
 国立大学教育学部の人達で、飛び級制度や大賢者の様な子に対する教育など日本で遅れている取り組みを研究しているそうだ。
 兎沢小学校が特別研究校として選ばれた詳しい経緯は知らないが、絵梨と私の存在が有ったからだとは聞かされている。

「徳沢さん、大学生の教育実習ではないのですよね?」
「小栗さん、全然違うよ、僕らは君達に授業をしないし教えない、むしろ教えて貰う為に来ていてね。
 ここでどんな学習をしてるかは伝え聞いているのだけど、竹中くんと言う転校生を迎え、どう変わったとか色々ね。」
「じゃあ、何も教えてくれないのですね?」
「い、いや、聞かれれば教えるよ、教えないというのは授業をしないと言う意味さ。」
「みんなと遊んだりとかは?」
「一緒に遊ばないとホントの調査は出来ないと思ってる、小栗さんも遊んでくれるのだろ?」
「そうね、気が向いたらかな、授業後は菜園の仕事が有るから。」
「家庭菜園だね、君のお母さんがやってるYouTubeを見たよ。」
「都会暮らしの徳沢さんは畑なんて興味がないのでしょ?」
「耕したことは無いが理科の授業に関係するから興味がない訳ではないよ。」
「そっか、明日はピーマンの苗を植え付ける予定で竹中くんも来るのだけど…。」
「えっと、手伝いに行かせて貰って良いのかな?」
「そうね、手伝わさせてあげても良いのだけど、メインは竹中くんよるピーマンの植え付けだから気を付けて下さいね。」
「分かった、自分はどうすれば良い?」
「明日の授業後、校門前に集合だけど、徳沢さんだけで良いのですか?」
「出来れば他の三人も、彼らには話しておくから。」
「なら、滝川さんの車で?」
「それで良いと思う、後で確認して今日中に伝えるよ。」
「じゃあ、畑仕事だから汚れても良い服装でお願いします。」
「了解した。」

 彼らは私達との意思疎通が取れなくては何も進まないと考えているだろうが、私達は家庭菜園全体のレイアウトをドローン目線で考え始めていて労働力を必要としている。
 絵梨は私には難しそうなミッションをいとも容易くこなしてくれたのだ。
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