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五年一組-30 [花鈴-03]

「カッコイイと褒めて育てた訳だ。」
「そんな大層なことではないわ、合併があったからクラスの子は互いに良く分かってなくてね、転校とも事情が違うから皆戸惑っていたみたい。
 上級生が出身校の違いで揉めたりとかね。」
「そっか、始めからグループに別れていたんだね。」
「上級生に影響されて喧嘩しようとする子がいたりしたのだけの、女子が仲良く成るのに時間は掛からなかったの、でないと転校生の自分は独りぼっちになってしまうでしょ。」
「取り敢えず女子をまとめたんだ。」
「まとめたと言うかみんな名古屋からの転校生に興味深々だったの。
 で、提案してみた訳、外見でなく行動のカッコ良さを褒めようって。」
「前の学校にはあまり行ってないけど、そんな雰囲気では無かったかな、今にして思えば、小学一年生には僕との差が理解出来なかったのだと思う。
 それで、算数の時間に数学と言うのは今年度からなのでしょ?」
「正式にはね、ただ以前から大賢者みたいな子の受け入れを先生と相談していて、絵梨と私は数学の学習に取り組んでみたの、それまでも結構自由にやってたのだけど。」
「読解力が有るから参考書を見ながら問題集に取り組んだとか?」
「まあね、絵梨が先生はいらないかも、なんて口にしちゃうから放置状態だったの。
 それまでも絵梨と私は授業の邪魔にならない様に五年や六年の範囲を学習しててね。」
「そんな花鈴姫は小一の授業に、ある意味ついて行けたの?」
「授業に関係なく親からの課題に取り組んでたわ。」
「課題?」
「授業は簡単過ぎるから、退屈しない様に先生や同級生の観察、誰が何を考えているのかを見極める。
 始めは難しかったけど、時間が有ったからじっくりとね。
 ただ、子どもだったから、絵梨みたいに口にしてしまい、嫌がられる子になってしまったの。」
「何を考えてるか見抜いてますみたいな?」
「うん、親が転校を考えたのはそれだけでは無いのだけどね。」
「他人が何を考えてるかなんて考えたこと無かったよ、ここでは嫌がられてないの?」
「前の学校で色々学んだから。」
「僕が何を考えてるかも分かる?」
「ある程度はね、でも、大賢者はそれを不快に感じない広い心の持ち主だから、話したのよ。」
「姫は自分にはない能力を沢山持ってるからね、魔法を使われても驚かないな。」
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