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五年一組-29 [花鈴-03]

 Lilyは方言に戸惑っているし、田中くんは誰とでも話す様にしているけど私のナイト、竹中くんと話が合うのは私達ぐらいで自然と五人のグループが出来上がった。

「ねえ、大賢者、算数の時間に問題は無い?」
「今の所はね、花鈴姫が自由にしていて、それなりに刺激的、先生が姫と相談して授業を決めてるのには驚いたよ。」
「実験的な取り組みだからね、ホントは教室で無く一人で数学と向き合いたいのでしょ?」
「数学のことだけを考えたらそうだけど、みんなが算数に取り組んでるクラスの中で四人だけ数学と言うのは面白いし、姫がLilyに算数を教えつつ家来のひろっちに中学数学の基礎を教えてるなんて、普通の小学校では有り得ないから見てて楽しいよ。」
「ふふ、田中くんのことは大賢者もひろっちって呼ぶことにしたのね。」
「肩書やら英語の呼び名とか決めたけど、アーサー王伝説なんて誰も知らないだろ、彼は姫を守ってると言うより守られているのだから、ひろっちで良いのさ。」
「設定としては私を守るナイトなのだけどな。」
「みんな分かっていると思うよ、僕たち転校生が花鈴姫に守られていることをね。
 五年生だけでなく、六年生の面倒まで見てるのだろ。」
「大したことじゃないわよ、転校生全員に手紙を渡し、転校生としては先輩だから何かあったら相談してねって程度だから。」
「それで小学校を仕切ろうと考えてるとか?」
「そんなことは考えていないわよ。」
「でも五年一組のみんなが、やたら誰々くんカッコイイって褒めるのは花鈴姫の影響なのだろ?」
「そうね、三年生の終わり頃に始めたのだけど、かっこ悪いと言われる子は随分減ったの。」
「クラスが平和な理由?」
「洗脳に成功してるのかな、最初は人に迷惑を掛ける男子に対してかっこ悪いわよ、と指摘しつつ、手伝ってくれたら有難うカッコイイわよなんて感じ。
 クラスの女子で相談して始めたのだけど、男子も互いの振舞に対して、カッコイイ、かっこ悪いって言う様になってくれた結果、みんな、それなりに成長したと思うわ。」
「成長?」
「ええ、テストで点が取れなくても下級生の面倒をよく見てくれてた子はカッコイイと言われまくってから、学習への取り組み方も変わったの。
 テストの点が低くても自分的に問題無かったのが、点が低すぎるのはカッコ悪いと思うようになったみたいでね。」
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