SSブログ

五年一組-28 [花鈴-03]

 五年一組への転校生がクラスに馴染むのに大した時間は掛からなかった。
 私からの提案で、クラスのみんなはLilyに対して英語で挨拶してるのだが、そこから日本語でのお喋りが始まることも有る。
 転校生たちはここのことを知りたいのだから協力して欲しい、と話して有るので山田さんちで子牛が生まれたとか、神社のツツジが綺麗だとか。
 子ども同士の会話としては少し不自然かも知れないが、皆で子牛を見せて貰いに行ったり神社に連れて行って貰う内に互いの距離は縮まっていると感じる。

「子牛、可愛かったね。」
「うん、でも大きくなったら焼肉になるのかと思うと考えさせられたな。」
「賢者は肉好きなの?」
「普通に食べるよ、ピーマン以外に嫌いなものはないんだ。」
「ピーマンか、ここでも採れる?」
「う~ん、商品としてはあまり栽培してないかもだけど、自分ち用に作ってる人は少なからずいるわね、うちの家庭菜園で沢山採れたら竹中くんちへお裾分けするね。」
「え~。」
「小栗家の家庭菜園、去年は六月ぐらいに収穫が始まったかな、Lilyはどう?」
「採れ立ての野菜は味が違うと聞いたから、これから親子で色々食べてみようって話しています。
 好き嫌いを一旦リセットして、今まで苦手だったものも食べてみようって。
 賢者Bambooもピーマンに挑戦してみてはどうです?」
「うっ、それは…。」
「栽培するところから始めてみようよ、自分で種を蒔くの。
 まずは何故ピーマンが苦手なのかを考えて品種を選ぶ。
 美味しいピーマンを食べたことが無かったからかも知れないし、調理法を研究したら美味しく食べられるかも知れないでしょ。
 それでもダメだったら私はあなたにピーマンを食べなさいとは言わないわ。」
「どうしてそこまでして?」
「ピーマンが嫌いなんてお子ちゃまっぽくて、私は小学二年生で克服、今は普通に食べられるのよ。」
「竹中くん、花鈴お嬢様には逆らえませんよ、僕も手伝いますがどこの畑で栽培するのですか?」
「絵梨、小栗家の家庭菜園がベストだと思うのだけど、どう?」
「どうしてうちがベストなの?」
「記事のネタになりそうでしょ、親孝行しなよ。」
「そ、そうね、相談してみるわ。」
nice!(10)  コメント(0) 
共通テーマ:趣味・カルチャー

nice! 10

コメント 0

コメントを書く

お名前:[必須]
URL:[必須]
コメント:
画像認証:
下の画像に表示されている文字を入力してください。