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五年一組-26 [花鈴-03]

「私は気にしていませんでした。」
「不気味だと感じてたのは私だけなのかしら?」
「そう言われて見ると、お世辞でしか可愛いとは言えません。」
「だから英語教材としては断固拒否したの。
 ところで、交流会で私達の歌ったDo Re Miは正直なところどうだった?」
「花鈴お嬢様が素敵でドキドキしました、他の子も良かったです。」
「英語を日常的に使って来た人にとって、おかしな所が気になったりはしなかったの?」
「細かいことは気にしません、カナダで暮らしてた頃は色々癖の有る英語を耳にしていましたから。」
「そうなんだ、伊藤さんはカナダで暮らした後、四年生から日本の学校に通い始めたのでしょ、日本の学校で苦労は無かったの?」
「両親とは日本語で会話していましたし、向こうでは日本語のラジオ放送を聞いていましたので日本語に自信が有ったのですが、四年生の話す日本語が良く分からなくて学校に馴染めなかったです、話題も合いませんでしたので。」
「成程、子ども同士が話してるのは大人が話してるのとは違うしラジオとも、大変だったのね。」
「事情が有っての帰国、急いで借りたアパートに問題が有り、父は転職と、家族揃ってストレスを抱えてる時に、父が本社従業員の社内募集を知ったのです。」
「そうなんだ、どう、今の家は大丈夫?」
「はい、家族向けの寮に入っていますが、東京のアパートよりうんと快適で、父は通勤がとても楽になったと喜んでいます。
 私は社長令嬢と同じクラスになれて、うんと楽しんでいるのですよ。」
「社長の娘なんてことは気にしないでってうちの父が話してたでしょ。」
「社長令嬢がツンツンして威張っていても面白いかと思ってたのですが、私がここに馴染めるようにして下さる優しい方で嬉しいのです。
 慣れない土地ですが、え~と…、寄らば大樹の陰です。」
「私は大樹なのか、日本語の学習は問題ないみたいね。」
「どうでしょう、クラスの子と話すのは方言も有り難しいです。
 それでも、日本語の本をもっと読んでみようかと思っています。」
「じゃあ、今日は図書室で伊藤さんに合った本を探そうか?」
「お願いします、ただ、そろそろ伊藤さんでは無く佑理かLilyと呼んで下さいませんか。」
「分かったわ、カナダではLilyと呼ばれていたのね。
 私のことは?」
「Princess Bellflowerが皆に馴染んで貰えなかったらPrincess Karinですが、普段は花鈴お嬢さまです。
 私としてはクラスの子達が色んな名で呼び合う…、え~っと混沌とした状態が面白そうで。」
「そうね、それには協力させて貰うわよ。」
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yam

喪中につき新年のご挨拶は差し控えさせていただきますが
今年も引き続きよろしくお願いいたします
by yam (2023-01-01 10:39) 

(。・_・。)2k

明けましておめでとうございます
今年もどうぞ よろしくお願いいたします

by (。・_・。)2k (2023-01-01 19:29) 

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