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五年一組-23 [花鈴-03]

「結局、花鈴が先生を手懐けたのだけど、それには合併したばかりの小学校に、他にはない特色をと考えてた大人達が協力してくれたの。」
「君達も僕と同じ様に同学年と差が有り過ぎる子なのだね。」
「そこまでの差は無いと思うけど、四年生の花鈴に六年生が算数を教えて貰ってたわ。」
「小栗さんは?」
「花鈴と一緒に学習してるから教えられるのだけど、性格的に年上を教えるのには無理、私は彼らのプライドを傷つけてしまうのよ。」
「分かる気がする、それで纐纈さんがこの学校を支配してるんだ。」
「支配なんてしてないわよ、田中くんは信じちゃダメよ。」
「ですが妹は花鈴お嬢様から手紙を頂いで喜んでいました。」
「そんな手紙も田中くんが届けたの?」
「いえ、手渡したのは伊藤さんです、それを切っ掛けに妹は伊藤さんと仲良く成れそうで、転校の不安がどんどん解消されてるみたいです。」
「纐纈さん、それも考えてのことなのですね?」
「転校して来た子達が仲間を作る切っ掛けは多い方が良いでしょ。」
「そして花鈴の好感度が上がる、策士なのよね花鈴は。」
「手紙を利用して人を繋いで行けたら面白いでしょ、私が渡したら私と田中里奈ちゃんとの結びつきが出来るだけ、でも転校生の伊藤さんが手渡せば、そこから違った人間関係が発生するの。」
「自分は数学が出来て頭が良いと思ってたけど、そんなこと、考えた事も無かったよ。」
「簡単過ぎて算数が嫌いな竹中くんには無理かもね、基本は単純な足し算なのだけど、そこに転校生や兄妹、親同士の関係と言った要素が関係するのよ。」
「う~ん、僕は同年代との人間関係を考えて来なかったから、纐纈さんと小栗さんに出会って考えることが増えてるのだけど、友達もそうやって出来て行くものなのかな?」
「竹中くんは花鈴と友達になりたいの?」
「多分そうだと思う、ただ、今まで友達と言える人と出会って来なかったから…。」
「まずは花鈴の下僕からスタートしてみる?
 君は同年代で能力の近い子と接する機会がなかったことで大切なものを失い掛けてた、それを花鈴の下僕として取り戻すの。
 あなたならきっと人として大切なものを花鈴の下で得られるわ。」
「う、うん。」
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