SSブログ

新学期-18 [花鈴-02]

「そうか、儂らが無い知恵を絞りだして生み出した学校の企画はそんな形で竹中くんに届いたんだ。」
「清六おじさん、企画はどんな切っ掛けで出て来たのですか?」
「そうだな、今から二年前に纐纈さん、花鈴ちゃんの一家が越して来たことだな。
 竹中くんは大きな会社の本社がここに移転して来たのは知ってるか?」
「はい、纐纈社長のお話を読みました、そうか、纐纈花鈴さんは社長のお嬢さんなのですね。」
「はは、そこまでかしこまらくても良いぞ。
 纐纈社長は単なる思い付きで本社移転を決意された訳では無く、まずは自分達がここに移り住む所から始められてな、花鈴ちゃんが三年生になるのに合わせ家を建て越して来られたんだ。
 それが調度、過疎化で児童数が少なくなった学校が統合されたタイミングでね。
 統合されて何とか一学年一クラスになったのだよ。」
「私にとっては出来上がったクラスでは無かったのが良かったかな、よそ者扱いされなくて。」
「これからの転校生もよそ者扱いされないことを願うね。
 まあ、花鈴ちゃんは小学校で、そのお兄さんは中学校で目立ってな。」
「竹中くん、目立ったのは兄の方だからね。」
「プログラミングが趣味と言うことは知っています。」
「中学一年生になったばかりなのに、先生達を色々と圧倒したことは?」
「えっ、圧倒って?」
「ここの中学生とはレベルが違い過ぎて、学習に関する提案を色々してくれたんだ。
 花鈴ちゃん、君のお兄ちゃんはどうしてあそこまで先生を説得出来たのだ?」
「そんなことをしていたとは知りませんでしたが、兄は自分が社長になる可能性を考え学習しています。
 人を動かすことはリーダーとしての基本だと話していますので、そんな所かと。」
「成程な、そんな話を教師から聞いた儂らは驚くだけだったが、そこから幼くして特別な才能を持った子、つまりは竹中くんの様な子の存在を知ってね。
 ちょっと調べた奴が、そんな才能を持っていても、公立学校ではそれに見合った教育を受けられていないと気付いたんだ。」
「学校では無理です、自分は塾とか他で知的欲求を満たして来ました。」
「みたいだな、そんな中、儂らの中には田舎の学校に付加価値を付けたいと考えてる奴もいてね。」
「付加価値?」
「田舎の学校でも大きな特色を打ち立てることに成功したら児童や生徒を増やせる、普通は田舎の学校にわざわざ転校して来る子はいないけど、もし、その学校が都会の公立学校にはない特色を備えていたら、親が移住をしてでも通わせたく何かが有ればとな。」
「それでも小学生に中学以上の教育をするのは問題が有るのですよね?」
「まあ、絵梨のお母さん始め色々な人が動いてくれてな、竹中くんは大学の研究材料になる代わりに、小学校のカリキュラムに縛られ過ぎることなく、ここでの小学校生活を送ることが出来るのさ。
 儂としてはクワガタとかにも興味を持って貰いたいのだがな。」
「ミヤマクワガタとか、ここの森で捕まえられるのですよね?」
「興味が有るのか、そっちは専門外だから、マニアを紹介してあげるよ。」
nice!(12)  コメント(0) 
共通テーマ:趣味・カルチャー

nice! 12

コメント 0

コメントを書く

お名前:[必須]
URL:[必須]
コメント:
画像認証:
下の画像に表示されている文字を入力してください。