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新学期-17 [花鈴-02]

 竹中くんのことは清六おじさんも聞いていて、猪の肉だけでなく色々食べさて貰いながら…。

「竹中くんぐらいに頭が良いと普通の子とは合わないのかな?」
「正直、同級生のことは幼く感じていまして、大人と話す方が楽しいです。」
「ここへの転校は最終的に君が決めたのだろ、決め手は?」
「一つは自分のペースで学習に取り組めると聞いたからです。
 前の学校に入学した時には、驚いてしまって。」
「驚くほど、どうだった?」
「小学生になる前に割り算まで学習済だった自分にとって、低学年の算数を理解するのに時間の掛かる同級生が信じられず、すぐに問題児となりました。」
「何かやらかしたのか?」
「やらかしたと言っても一年生でしたから可愛いものです、先生の話は聞いていませんでした。」
「ふむ、絵梨や花鈴ちゃんはどうだった?」
「私は、理解の遅い子に教えてたかな、性格的にほっとけなくて。」
「私も兄に相談したら友達に教えてあげる様に言われ実践しています、もの足りない所は兄が教えてくれています、竹中くんほどでは無いのですが先に進んでいるのですよ。」
「お利口さんなのか。」
「まあね、私は妹や弟の面倒も見てるし、花鈴は家族に溺愛されて育ってるから。」
「そっか、一人っ子だからと言われたことも有ったけど兄弟の存在は大きいのかな。」
「人それぞれだから何とも言えないけど、一人っ子は可愛そうな気がする。
 親が外出していても子ども同士で遊んでいたからね。」
「うんうん、お兄ちゃんがいなかったらお留守番出来なかったと思うわ。
 それで問題児となった竹中くんはどうなったの?」
「少なくとも学習面で自分を否定されることは嫌だったから学習には取り組んでた。
 お父さんも学校の先生と喧嘩してたから、塾に通わせてくれてね。
 体育や図工は苦手だけど。」
「スポーツ関係のクラブとか有ったでしょ?」
「少し試したけど挫折したんだ、大勢で何かをするのは苦手みたいで。」
「友達がいないのか。」
「まあね、だから転校も気楽なものだったのさ。」
「おいおい、友達のいない小学生なんて悲し過ぎるだろ。」
「清六おじさん、友達はいないけど、お父さんが塾を始め色々な大人と接する機会を作ってくれましたので、そんなに悪くなかったのです。
 そんな大人の一人がこの兎沢小学校の取り組みを教えてくれました。」
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