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新学期-16 [花鈴-02]

 過疎化に歯止めを掛けようと考えてる大人達は、ことあるごとに小学校で酒盛りを開く。
 酔っ払い運転はダメだから、そのまま学校で寝てから仕事に出掛けるのだとか。
 一応今後の方針を相談する場なのだそうだが、話し合いと酒盛り、どちらがメインなのか分からないのは、子ども達に料理を振舞いながら飲み始めてる人もがいるから。

「絵梨、もう飲んでる人が居るけど、転校生の両親とかイメージを悪くしないかしら?」
「うちの親はそんな雰囲気が気に入って移住して来たのだけど…。」
「あっ、竹中くん、お肉食べた?」
「色々質問されてて今来た所なんだ、やはり町の小学校とは雰囲気が違うね。」
「もしかして、引いてる?」
「う~ん、交流会は歌の発表までかと思ってたけど、これからが本番?」
「大人達の本番はもっと後なのだけど、それを待ちきれずに飲み始めてしまうのよ。」
「小学校の校庭でバーベキューとか、始めての光景で新鮮だけど、この人達にうちの親がついて行けるのか心配かも。」
「でしょうね、うちの親は異常なのよ。」
「自分の転校には小栗絵梨さんのお母さんも関係しているのだけど。」
「そうなの、悪いことをしたわね、母に成り代わって御免なさいだわ。」
「えっ、ここへの転校は悪いことなの?」
「ここの大人達と馴染めなかったら残念なこと、でも馴染めたらそんなに悪くないかな。
 あそこで猪の肉を焼いてる清六おじさんと仲良く成れるかどうかが分かれ目だったりして。」
「猪の肉か…。」
「食べたことないの?」
「記憶にない。」
「じゃあ、何事も経験ね。
 清六おじさ~ん。」

 絵梨の全く物怖じしない性格には随分助けられている。
 私が清六おじさんと話せる様になったのも絵梨がいたからで、絵梨がいなかったら色黒でワイルドな外見の彼には近づくことすら出来なかっただろう、子どもには優しい人なのだけど。
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