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新学期-13 [花鈴-02]

 学級会が終わって直ぐに転校生たちと話したかったが、交流会の時間が迫っていた。
 体育館へは新五年生が一番最後でギリセーフ。
 交流会は新一年生と転校生の為の会なのだが…。

「ねえ、纐纈花鈴さんは、これを一年生が楽しんでると思う?」
「まさか、大人の話は大人の自己満足だから、一年生はぼ~っとしてれば良いのよ。
 ゲームの時間になったら少しは楽しんで貰えるかな、ここに来てる大人達には色々な思惑が有って、その辺りの事情は竹中くんにも理解して欲しいかも。」
「事情?」
「過疎地には色んな思いが有るのよ。」
「不便な所で人が少なくなってるとは聞いたけど。」
「そうね、スガキヤのソフトクリームが食べられないの、でも、冷静に考えて私がかつて暮らしてた名古屋との違い、私にとっての違いはそれぐらいでね、コンビニだって有るでしょ。」
「確かにあるね、自分の家からだとかなり遠いけど、だからと言って不便かと言うと僕は東京にいた頃コンビニには行ったことが無かったからな。」
「どうして?」
「コンビニの商品は割高だそうで、親はスーパーを利用してた。」
「そっか、私も名古屋に住んでた頃はコンビニに行ったことが無かったわ。
 おっと、大人の話が終わったから次はゲーム、一年生に優しいお姉さんをアピールして来るわ。
 竹中くんはみんなの観察でもしててね、結構面白いから。」
「うん。」

 竹中くんは正直者のようだ。
 自己紹介でも堂々と話してたからな。
 でも、正直なだけではね、大人の事情も分かってあげられないと駄目なのよ。
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