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新学期-12 [花鈴-02]

 始業式は転校生全員を紹介するぐらいで簡単に終わった。
 本当の転校生紹介はその後教室で、五年生は三人だ。

「始業式で簡単に紹介されたけど同じクラスの一員になるのだから、まずは三人を迎え入れる君達から自己紹介をする必要が有ると思わないか?」
「先生、悪くはないけど今は簡単にしといた方が良いと思う、ここで時間を掛けるより明日からじっくり個人的にの方が効率的でしょ?」
「ふむ、そうだな、では浩司の案に沿って各自簡単に自己紹介をしてくれるか。」

 という感じで自己紹介が始まったが、翔馬が自分の名前のことを自嘲気味に説明しただけでなくペガサスと呼んでくれても構わないと話したのには驚いた。
 彼なりに吹っ切れたのだろうか。
 そして転校生の番。

「えっと、竹中浩太です、僕はペガサス君ほどいじめられてた訳では無いのだけど、前の学校に馴染めませんでした。
 それは算数が得意過ぎて他の子について行けなかったからです。
 でも、ここには作文のレベルが違い過ぎて、四年生の書いた作文だと思って貰えず作文のコンテストに落ちる子がいると聞きました。
 学習が苦手な子でも誰も馬鹿にしたりしないとも。
 それが本当かどうか自分の目で確かめたくてここに来ました。」
「私に算数を教えてくれるの?」
「それは微妙です、小栗絵梨さんの理解力があまりに低かったら…、僕は理解出来ない人の感覚が分からないのです。」
「はは、それで馴染めなかったのね。
 算数は花鈴が受けて立つから大丈夫よ。」
「ちょっと、絵梨、勝手なこと言わないでよ、竹中くんは絵梨に興味が有るのだから。」

 と、言いながら内心ニヤついていたのは、この転校生は絶対面白いと思ったから。
 因みに四年生っぽい作文を書くことを拒否していたのは絵梨、私達は算数が苦手と言う訳でも無い。
 竹中くんの後で話すことになってしまった伊藤さんと田中くんは普通の人みたいで、戸惑いながら自己紹介をしている。
 平凡そうな二人だが私はがっかりしない、うん、仲良くなろう。
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