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日記-02 [花鈴-01]

 小学五年生への進級を切っ掛けに日記を始めることにした。
 お母さんは、大きくなってから読み返す前提で、今の気持とかを気楽に書けば良いと話してくれたから、そんな感じにしようと思う。
 自己紹介は書けたから…。
『五年生のクラスメンバーはもう決まっている、名古屋の学校にいた頃と違って五年生は一クラス、そのクラスが四年生の時のままに楽しいクラスで有って欲しいけど、転校生が来て更に楽しく…。』
 でも、逆パターンも有るのかな、我儘で乱暴な子が来たら刺激的で面白かったりして。
 美少女が来て男の子達の態度が変わるとか、美形男子が来て女子がざわつくとかの可能性も有る。
 う~ん、花鈴、平凡な子が来てもがっかりしてはダメだぞ、翔馬だって始めはただの根暗だったけど変わったのだから。
 それにしても翔馬と書いてペガサスと読ませようなんて考える親の気持は未だに分からないわ。
 翔馬は前の学校で散々いじられ不登校になったのだから。
 クレオパトラなんて付けられてたら私も同じ目に遭ってたのかしら。
 翔馬は、転校を機会に相談して『しょうま』と呼ぶことにしたのだけど、最近になってペガサスと呼ばれていたことを告白し、いじめられていたとも。
 まてよ、クレオパトラを漢字にしたらどうなるのかな。
「お父さんパソコン使って良い?」
「どうぞ。」
 えっと、くれおぱとら…、漢字は出て来ないけどCleopatraなら恰好良いかも。
「ねえ、お父さん、名前ってアルファベットでは駄目なの?」
「日本では駄目だな、日本に帰化する人は漢字の名前を付けるぐらいなんだ。
 名前で気になることでも有るのか?」
「クレオパトラを漢字にしたらどうなるか考えててね、因みに翔馬と書いてペガサスだった子はいじめられて転校、今は『しょうま』なの。」
「はは、ペガサスのままだったら初めて会った人には覚えて貰い易いかも知れないが、一々翔馬と書いてペガサスと読みますって説明しないと行けなくて面倒だろう、からかいたくなる人は少なからずいるだろうし。
 でも、花鈴はクレオパトラが良かったのか?」
「まさか、ただ、翔馬みたいにペガサスと名付けられても『しょうま』と読めるのなら、クレオパトラでも同じような漢字が有るのかなって。」
「それは難しそうだ…、いっそ花鈴と書いてクレオパトラと呼ばせるか?」
「花鈴は全然クレオパトラじゃないじゃん、翔馬は一応ペガサスと言われても納得出来るでしょ。」
「クレオパトラに漢字を当てることは出来ても納得して貰える漢字が全く思い浮かばないのだが。」
「うん、『く』で変換しても『くれ』でも全然クレオパトラをイメージ出来る漢字が出て来ないの。
 そう考えると翔馬と書いてペガサスと読ませようと思った親は、ただの馬鹿ではないみたいね。」
「どうだかな、子どもの将来を真面目に考えたら、そんな名は付けられないと思う。
 もっとも、最近は新入社員でも読み方に戸惑うのが増えていてね、花鈴ぐらいが調度良いのだよ。」
「はいはい、そう言う事にしておくわ。」
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