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日記-01 [花鈴-01]

「ねえ、お父さん、日記を始めるのだけど何から書けば良いの?」
「う~ん、決まりごとは全くないと思うが…、自己紹介から始めて見てはどうだ?」
「私のことを知らない人が私の日記を読むとは思えないのだけど。」
「自己紹介から書きたいことが思い浮かぶかも知れないし、十年後の花鈴が読むとしたら、十年前の自分がどんな気持ちで自己紹介を書いていたとか思い出すかも知れないだろ。」
「そうね、今日から日記を書くと決めて日記帳を用意していたのだけど、今日はずっと本を読んでいたから、今日は本を読んでいた、でも、まだ全巻読み終えてないから感想は書かない、なんて書くのもどうかと思っていてね、じゃあ…。
『私は纐纈花鈴、纐纈って苗字は画数が多くて書ける様になるまで苦労したけど苗字を書くのは嫌いじゃない、花鈴と言う名前は』、ねえ、お父さん、どうして私に花鈴って名付けたの?」
「どうだったかな…、かりんジュース作りをしていたお婆さんの影響か、でも花の様に可愛くて鈴の様に騒々しい花鈴にはぴったしだろ。」
「何か納得出来ないわ、お母さ~ん…。」
「お~い、花鈴、ついでにビールを頼む。」
「は~い。」

「はい、どうぞ。」
「有難う、麗華さんは何て言ってた?」
「お父さんの話よりはもっともらしく説明してくれたけど、今の私にピッタリよねって、そんなこと生まれた時に分かる訳ないじゃん。」
「だろ、生まれた時には、どんな子に育つのか分からないから、大きくなってプレッシャーにならない名前にしようと話したのは覚えてるよ。」
「プレッシャーになる名前って有るの?」
「クレオパトラなんて付けられなくて良かったと思わないか?」
「そんな名前だったらプレッシャー以前にいじめの対象になっていたかも、まあ、花鈴って名前は悪く無いって思ってるから良いのだけど。
 ねえ、今日の自己紹介に五年生って書いて良いのかな?」
「四月一日だから間違ってても、嘘でした~、で済ませば良いさ、元々学年なんて大した意味はないのだから。」
「四年生から五年生になるのに?」
「それで?」
「子どもが一つ大きくなるとか、お父さんは嬉しく思ってくれないの?」
「何年生だろうが、花鈴は私の大切な娘で有ることに変わりはないのだよ。」
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