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近衛予備隊-419 [高校生バトル-84]

「学生達にも仕事先で不当な扱いを受けたら報告する様に…、報告し易いシステムを整える様に指示して置くよ。」
「お願いします、近衛予備隊時代から教えていることですが、大人の圧力に負けてしまうことも有りそうですので。」
「まあ、私の周りの学生は大人に圧力を掛けている様だがな。」
「それは頼もしいですね。」
「パソコン導入前は三人掛かりでこなしていた作業を一人でこなしているのだが、それを半日で終わらせて大学の学習時間に充てることに同意して貰ったとか、作業効率を上げる提案を通して工場全体の生産性を高めつつ、工場のシステムを再構築する為に私の下へ学びに来させて貰ってるとか。
 彼らをうちの社員とし、それらの企業に対して技術指導と言う形にすれば問題ないだろう。」
「まだパソコンを使いこなせてる人が充分とは言えませんからね。」
「そこがネックなのだろうな、日本でもパソコンが導入され始めた頃は中年の管理職が苦労したそうだ。
 この国でも同じ様なことが起きているのだろうが、うちの高校生大学生とこの国の大人とでは知的格差が大き過ぎるみたいだな。」
「ええ、教育の力を実感しています、指導に当たって来た教官達の作戦が成功しました。」
「作戦?」
「子ども達は良い実習先に送り込んで貰えると、そこでの働きによってお小遣いが貰えるのですが、そんな実習先への派遣条件は苦手な子の多い割合計算をマスターすることだったり、英語の検定試験に合格することだったりなのです。」
「分かり易く魅力的な目標を示されれば頑張れるのだな。」
「その過程で指導してくれる高校生に憧れを感じた者は王立高等学校を目指すのです。
 高校生は教育実習の時、必ず近衛予備隊の隊服を身に纏って臨みますので。」
「教育実習でもお小遣いは貰えるのか?」
「勿論です、彼らには仕事として子どもと向き合って貰っていますから。
 正直に言いますと、教育環境を充実させても、子ども達の学習レベルがここまで上がるとは考えていませんでした。
 教育先進国との格差は限りなく大きいと思っていましたので。」
「先進国には優等生がいれば劣等生もいるが、ここには劣等生という概念がそもそも存在してないと感じる。
 自力で生活して行く力が有れば良いのだが、それがなくても大家族が支え合って暮らしていて何とかなるのだろ?」
「はい、世帯収入が増えていますので以前より楽に暮らせてると思います。
 残る貧困者はハンディを抱えてる人ぐらいになりつつ有りまして。」
「貧困層への集中的な支援、様々な指導を含めての支援活動が実を結びつつ有るのだな。」
「ええ、公的扶助の考えが国民に存在しない状態からでしたので苦労しましたが、我々の活動により生活の良くなった人達が支えてくれたのです。
 衣食が充分に足りていれば、心に余裕が出来るのでしょう。」
「だが、日本には心の狭い金持ちも少なからずいる、ここの人達も生活の変化によって今後変わって行くかも知れないが、折角生活環境が改善つつ有るのだから、ここの子達には心の狭い大人にはなって欲しくないものだな。」
「はい、その為の教育だと思っています。」
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