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近衛予備隊-412 [高校生バトル-84]

「佐伯学長、数学研究室の建物が完成したと聞きましたが。」
「ああ、彼らに言わせると完成したのは第一期工事で、これからどんどん増築して行くそうだ。
 どうやら、数学研究室と言うのは建前で、皆のたまり場が欲しかったみたいだな。」
「確かに彼らが使える施設は限られます。」
「しかし驚いたよ、一応近衛予備隊の訓練を兼ねてと言うことだったが、広い土地の開拓から始めるとは思って無くてな。
 さぞ大変な作業だろうと見に行ったのだが、重機を使い大勢が交代で作業してるからか楽しそうでね、調理班が食事の用意をしてるし、作業を切り上げてからは酒も出て、焚火を囲んで歌ったり踊ったりしてた。
 仕事が休みの日に作業をしていたのだから、そう言ったことも必要なのだろうな。」
「近衛予備隊が発足した頃には考えられなかったことです、月日を重ね大人の隊員が増えました。
 彼らは食事会をするから集まれというより、近衛予備隊の開拓者魂を見せると言った方が大勢集まると思います。」
「そうか、彼らにとっては作業も楽しいイベントなのだな。
 作業後に汚れた服のまま川に入って遊んだりもしてたし、女子達のサポートも有って。
 だが、整地が一通り終わったら、後は毎日計画通りに進めていて感心したよ。」
「日によっては仕事が休みの人が少ないことも考慮してスケジュールを組んでいた筈ですが、それでも皆が楽しめる所まで計算に入れていたと思います。」
「日々の仕事も大変そうだからな。
 作業後の焚火を囲む飲み会に混ぜて貰ったことが有るが、仲間の仕事を気遣う発言から、リーダーとしての気苦労を教えて貰ったりもしたんだ。
 政府機関で働いていて、昔の癖が抜け切らない部下をどう扱って行くかとか。
 若い管理職ばかりだったみたいでね。」
「その辺りが自分の悩みでも有るのです、改革を急ぐには若い力が必要だったのですが、かと言って勤続年数が長いだけの連中をクビにする訳にも行かず、労働者は充分に居ても必要な人材は全く足りて無いと感じています。」
「それで、留学生からも教員を採用してるのか…。」
「彼らには国情を説明し、教員としてではなく公務員としての採用で、学校以外の場でも働いて貰っています。」
「それを納得してのことなら…、だが他の現場で役に立っているのか?」
「基本、公務員として働く近衛予備隊隊員の下で動いて貰っていますので大丈夫でしょう。
 彼らにとっては古い職員と価値観の違いをどうして行くかになりますが、面接を通してこの国の事情を理解した上での公務員採用です、特に問題が起きてるとは聞いていません。
 もっとも彼らの問題が大統領にまで伝わって来る様では、別の意味で問題なのですが。」
「そうだな、少し興味を持ったから彼らがどんな価値観を見出して行くのか、学生にも協力して貰って探ってみるよ。
 この国の為に雇った日本人公務員が役立たずでは悲しいからな。」
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