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近衛予備隊-411 [高校生バトル-84]

 日本から移住して来た亮二には高校へ移籍後、数か月の準備期間を経て、数学研修室の室長になって貰った。
 室長になるまでは高校生だったが、大学で流体力学を学んだり高校生に数学を教えたりしながら近衛予備隊の新兵訓練を楽しくこなし、大学に籍を置く資格を得たのだ。
 そのサポートには佐伯学長を始め多くの大学関係者が関わっていて…。

「佐伯学長、亮二はどうですか?」
「思っていたより問題は無さそうだよ。
 子どもにしては几帳面で、我々と組んだスケジュール通りにことを進めるのが楽しくて高校生や大学生の友達と仲良くやってる。
 数学研究室は趣味で数学に取り組む学生が難題と向き合うだけでなく、教育学部数学科として数学教育について研究しているが、数学を楽しく学べる工夫を子どもに考えて貰うといったアイディアも出ていて取り組み始めているよ。」
「それは以前から行われていたことでは?」
「そういったことは理解の進んでる子が中心だっただろ。
 取り組み始めたのは、数学が苦手な子が自分で考えたり、後輩に教えると言ったことでね。
 数学の苦手な高校生が取り組み始めたのだが、状況を見ながら中学でも試してみる価値が有ると思っているんだ。」
「感触が良いのですね。」
「教えることに関しては、自分が頑張って合格点を取れた単元、数学に苦労してる後輩はかつての自分なんだ、数学の得意な子からしたら見劣りするレベルの子達だが、今まで『教える』を学び自信を持って教えて来た先輩とは違う視点で、数学の苦手な子と向き合っている。
 教えられる側も自分の気持が分かる子達から教えられるのは、色々な意味でプラスになってるみたいで、まあ仲間という感覚なのかな。」
「成程、数学が得意な子には苦手な子の感覚は理解出来ないかも知れません。」
「中学で実践出来たら学力はともあれ、子ども達に今までとは違った学習への取り組みの場を提供できると考えてるよ。
 大切なのは単位認定試験で高得点を取ることだけではないだろ。」
「ええ、算数は生活に必要ですが、数学は人によって必要としない内容も多いです。
 それでも推奨しているのは理数系に強い人を増やすと言う意味が有りますが、論理的に考える力を養って欲しいからです。」
「その辺りのことも数学研究室で考え始めていて、必ずしも数字と記号を使わなくても、論理的思考力を鍛えられるのではないかと、子ども向けの謎解きやパズルを生み出して行きたいと動き出しているよ、亮二が日本から取り寄せたのを参考にしながらね。」
「日本からだと日本語ばかりで一般の学生は困っていませんか?」
「そこは外国語学部日本語学科の連中が手伝ってるのだが、日本からの移住者や留学生を巻き込んでいるんだ。」
「楽しくやっているのでしょうか?」
「勿論さ、亮二は人気者でね。」
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