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近衛予備隊-407 [高校生バトル-83]

 大学生の研究課題には共和制と王政の比較と言ったものも有るが、国政に関わることなので学部に関係なく意見が交わされているそうだ。
 共和国内に王国が存在する体制の評価は彼らの間でも分かれる所だが、大統領が王家の人間なので、既に王国と呼んでもおかしくないとの意見も。
 大企業のトップでも有る王国の女王と、その部下でも有る共和国の大統領が極めて平和的に統治する国となっているから、彼らから国の体制に対する批判は聞こえて来ない。
 そんな状況でも国が問題なく連綿と続いて行くには後継者の問題が有る。
 詩織さまも自分もまだ若いので、それに関して気に掛ける人は少ないが、我々は王家の血筋を否定していて、自分の子ども達は王家の一員ですらない。
 アビュニス王国関連でシェリルが王家の一員となっているので今の王家は三人、何か起きたら遠江王家から王を迎えると言う話は有るが、それに対して違和感は拭い去れない。
 我々の王家は誰もが認める能力有る人を迎え入れる必要が有り、そのことは大学生達にも語って来たのだが…。

「大学生達は王家に次ぐ爵位を持ったグループの形成を考えています、悪くは無いのですが歴史的に見て、それが先々腐敗や混乱の原因になりはしないかと、詩織はどう思います?」
「王家に招き入れられる人材かどうか見極めるには良いのかもね。
 爵位による階級付けは無しにして平等に…、貴族と呼ぶのかしら? 
 そのグループに相応しい名称が思い浮かばないのだけど。」
「我々の王家に入る為のステップになるのなら、人々に誤解を与えたくないですものね。
 今、王家を支えてくれてるリーダー達に対して一律に王家の手前となる称号を用意するのか、そこで競い合って貰うのかは難しいと大学生も話していました。」
「そうね、野心家が国のトップを目指すと国を良からぬ方向へ導きかねないし、私利私欲に走られてもね、ジョンの様なバランスの取れた純粋な人を見つけるのは…、すでに実績を上げてくれてる人達よりも、若い世代から探したいかも。
 大学生達には王族を育てるという発想は無いのかしら?」
「そこが一番難しいのかも知れません。
 自分の場合、どさくさ紛れに村長となり王子になりましたが、国が安定して来た今、我々が実績の無い子を王家の一員にしますと言っても受け入れて貰えるのかどうか。
 勿論、我々の考えているシステムでは無能な人が国王になることは有り得ませんが。」
「国王や大統領に関わらず、リーダーを育てる環境は必要よね、今活躍してくれてる人を含め先を見据えた組織は不可欠かも。」
「各組織のリーダーに横の繋がりは希薄ですので、その溝も埋められたらと思いますが…、取り敢えず現役リーダーの皆さんには大学に籍を置いて頂くのはどうでしょうか?」
「そうね、後を大学生に任せてみるのも面白いかも、少なくとも国の根幹に関わることを老人に託すことだけはしたくないわ。」
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