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近衛予備隊-398 [高校生バトル-82]

「佐伯学長、留学生達は如何です?」
「今の所教育と語学のみだが、ここでの留学を経験した学生が日本へ帰ってから積極的に紹介してくれているので留学希望者は多いそうだ。
 日本での適性試験に合格する学生は増えてるそうで、大学事務局が調整で困らない様に人員の増強を指示したよ。」
「留学生には好評なままなのですね。」
「ああ、ここの学生が積極的に調べ学ぶ姿勢を見せられ、日本では講義を通して教えて貰うと言う受け身だったと感じる学生が多いみたいだ、真面目な子でもね。」
「教育学部には教授がいませんが問題はなさそうですか?」
「教育実習が中心の実践的な研究学習活動だからな、ここでの教育実習を通して日本の大学で学んで来たことの無意味さを知ったと言う話も聞くよ。
 大学の教室でどれだけ講義を受けたところで、それが現場で役に立たなかったら意味は無いそうで。」
「ここの高校生、早い子は十四歳ぐらいから教育実習に取り組んでいますからね。
 小さい子達はお姉さんお兄さんに教えて貰うのが嬉しくて学習が進むのだとか。」
「だろうな、教科としての『教える』では子どもの心理にまで踏み込んでいる、その辺りを理解した上で教育実習に取り組んでいるのだから、日本で教員を目指す大学生が経験する教育実習とは、質も実習時間も比べ物にならないのさ。
 ただ留学生が、ここでの経験を日本の学校で活かせるかと言うと制度上の問題が多くてね。
 だからこの国で教員を志望する者が増えているみたいだが、彼らを受け入れ続ける訳には行かないだろ?」
「ええ、教員採用の担当者は彼らにこの国の事情を説明し、それなりの覚悟が有る人だけを採用しています。
 教員として採用した人達には、会社での社員教育も担って貰いますが、その過程で実際に社員として現場で働いて貰うことも有ります。」
「その目的は?」
「学校と言う環境しか知らない人に職業教育が出来ると思いますか?
 小学生のまま十五歳で就職する子もいるのですよ。」
「うん、日本でも教員の中には学校しか知らなくて視野の狭い人がいると聞いたことが有る。
 ここの高校生達は様々な実習に取り組むからそんな心配は要らないのだろうな。」
「留学生が話していましたが、日本の高校はアルバイトを禁止している所が有るそうで、それによって実社会に触れる機会を失ってるのだとか。」
「学力重視で生徒の管理を考えてのことだろうが、それで学力が上がっても、人としての総合力はここの高校生に劣るとと思う、ここの学生と話していると大人だと感じることが多いんだ。
 仕事をしながら芸術学部に籍を置いたりしてるからかも知れないが。」
「趣味で芸術学部に籍を置く学生が増えていると聞きました。」
「ああ、彼らは留学生から話を聞いて大学祭の企画を始めたよ。」
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