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近衛予備隊-384 [高校生バトル-81]

 大学関係者に詩織さまが直接話されたことも有り、佐伯さんの学長就任はすんなり決まった。
 佐伯学長はまず仮の大学本部を王宮内に置き、今までの担当者を事務局長に、高校の実習生をその部下に迎え入れる所から始められている。

「詩織、佐伯学長はかなり活動的なのですね。」
「ええ、実習生の子達が素直で呑み込みが早いと嬉しそうに話してたから充実してるのでしょう。
 今まで仕事で高校生と接する機会なんて無かったでしょうから新鮮なのかも。」
「仮の事務局が王宮内でスタートした所ですが、具体的にどんな大学になって行くのですか?」
「そうね、特徴的なのは学生から教授まで、全員に学籍番号が割り振られたことかしら。」
「学籍番号とは学生を事務的に整理、管理する為の番号では無いのですか?」
「大学教授も、大学に籍を置く研究者の一人で有ることに変わりは無いでしょ。
 大学は学び研究する人達の場、基本的な所は全員同じと言う考え方からなの、教授達も賛成してくれたそうよ。
 番号は自由に選べるのだけど、希望が重なったらくじで決めたとか。」
「一から順に割り振るとか学部ごとに分けるとかした方が楽ではなかったのですか?」
「留学生も含めた管理の為の番号で重複が無ければ良いの、クレジットカードの番号と同じ感覚ね。」
「留学生もですか?」
「ええ、本人達は喜んでるし、こちらとしてはずっと繋がりを持っていて貰った方が何かと心強いでしょ。」
「留学生達もずっとここの学生になるのですね。」
「留学生からは学費を頂いてるけど、それはプログラムの終了までよ。」
「はは、さすがに一生学費を納めて下さいとは言えません。
 大学の運営費はどうなります?」
「一番人数の多い教育学部には教授クラスがいないし、個人研究と情報交換がメインになるから一番お金が掛からないけど、逆に人数の少ない工学部は何かとお金が掛かりそうね。
 大学運営予算は私の会社が負担する形にして行く方向で調整してるの。
 そうして行かないとややこしくなりそうでしょ。」
「学部ごとに、それまでの活動から資金の出処が違ってましたものね、工学部は会社の発電部門がお金を出していたりとか、でも、取締役会の承認は得られるのですか?」
「ええ、ここは沢山日本から輸入して日本国内の関連企業を潤して来たのよ。
 まあ、経営学部が実習で稼いでくれなくて、工学部の研究が成果を上げられなくても、支出は問題にならない額だと思うわ。」
「工学部が頑張ると、色々お金が掛かりそうなのですが。」
「そこは、遠江大学と調整して行くことになるわね。
 ホントに必要な研究で日本であまり進められていない分野なら予算は取れる、それぐらいの力は父にも有るのよ。」
「それを考えて学長に?」
「まあね。」
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