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近衛予備隊-362 [高校生バトル-79]

 王宮中等学校の教員には日本からの留学生も採用した。
 教員採用試験で特に算数、数学の成績が良かった人だ。

「中川さん、小学校と中学校で教え始めて如何ですか?」
「子ども達が素直でのびのびとしてるのが印象的です。
 義務教育の内容が簡単で躓く子が少ないからでしょうか。
 選択教科では一つの単元に時間の掛かる子がいるかと思えば、あっと言う間に終了して先へ進む子も。
 教育実習で初めてここのシステムに接した時は、子ども達の学習進度がバラバラでどうなるのかと思いましたが、単元の終了テストで合格点を取れれば良くて、義務教育内容ではほとんどの子が一回で合格。
 選択科目は一回で合格出来なくても何度でも挑戦出来るし、諦める自由も有る。
 学ぶのは彼らで有って、我々と先輩はその手助けをするだけ。
 それでも、自分の授業や自習時の助言が分かり易いと喜んで貰えまして嬉しかったです。」
「それで、帰国せずにここで働こうと?」
「ええ、ここの学校システムをもっと研究しながら日本の学校について考えてみたいと思いました。」
「日本の学校のことは色々聞いています。」
「バカバカしいと思いませんでしたか?
 義務教育だからと、ほとんど理解出来ない授業を受けさせられてる子がいたり、簡単過ぎて退屈な授業を受けてる子がいたり。」
「全体としての効率は良いのでしょうね。」
「ですが授業を受けてる子達にとって、授業の効率なんて関係ないです。
 ここの学習システムは第一に子ども達のことを考えています。
 分からないことは教師だけでなく先輩にも教えて貰える環境なんて、日本では考えられません。
 教える側にもプラスになりますし、そこに良好な人間関係が出来ています。
 後輩から慕われている子は教科『教える』に対して真剣に取り組んでいました。
 そんなことが年齢に関係なく。
 始めは、年少者に抜かれて嫌な思いをする子を思い浮かべたのですが、気にしてる子は僅かな様です。」
「日本人は長幼の序を重んじるそうですが、ここではあまり気にしません。
 でなければ自分が大統領になることは無かったでしょう。」
「それは大統領のお力だと思います、老人が牛耳ってる組織では様々な弊害が出て来ます。
 論理的に正しいことでも、伝統に反すると言われて押さえつけられたりし国の活性化を阻害しているのです。
 ここに素晴らしい教育システムが有ると知っても、全く気にも留めずに今までの教育を続けて行くことでしょう。」
「まだ試行錯誤していますが、ここの教育システムは良いと思いますか?」
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