SSブログ

近衛予備隊-340 [高校生バトル-76]

「香奈が学んで来た学校とここの国立学校では大きく違うのかな?」
「はい、ここでは義務教育内容でも、その教科を学習する意味を知る所から入っていますが、日本ではそんなことはほとんど無く、中学生になったのだからと定められたカリキュラムに沿って授業が始まり進められます。
 教師によっては説明をしているのでしょうが、私は各教科それぞれの単元を学ぶ意味を教育実習生として来たこの国で始めてまともに考えた気がします、十三歳の子と共にでしたが。」
「それは、詩織さまの指示で近衛予備隊が発足した当時からのことなのだよ。
 当時は自分もその説明を十分理解出来て無かったかも知れないが、少なくとも自分にとってプラスになる学習なのだと教官は感じさせてくれた。
 そして興味を持てるように指導して貰えたから今の自分が有る。」
「ジョン王子の様に元から資質の高い人だけでなく…、この国にも学習の苦手な子はいるのですが、それを否定することなく手間が掛かっても説明する教師の姿勢には考えさせられました。
 テストの得点はゲーム感覚の勝敗以外に重視されていませんし。」
「義務教育内容は国民全員に理解して欲しいことだからと、教員達も頑張っているのだよ。
 彼らは子ども達の理解度を確認するテストで、自分達の教える能力を確認しているのだとも話してた、能力は簡単に数値化出来るものでは無いから一つの指針としてね。」
「正直自分と同年代の女性が校長だったり、何をどう教えることが子どもの為になるのかを考えている人達、その指導の下、ここで教育実習を経験させて頂いたことは自分にとって大きな成長に繋がったと思っています。
 私は安易な気持ちで教育実習プログラムに参加しましたので、随分自己嫌悪に陥ったのですが良い経験をさせて頂けたと感じています。」
「王立大学設立に関わろうと思ったのは?」
「留学当初は、ここで多少の経験を積み日本で教育関係の仕事にと考えていたのですが、日本とは全く違う教育制度に触れ、その延長で大学が設立されると知りまして。
 閉塞感を感じさせられる日本で働くより、充実した日々を送れるのではないかと。」
「今は充実してるのかな?」
「ええ、こうして世界で一番若く素敵な大統領とお話しさせて頂いてますし、大学の学部一つ一つが興味深く、それぞれの学部が何を目指し何をして行こうとしてるのかを学ぶだけでも楽しいです。
 今はバラバラな組織ですが、それぞれが王立大学として一つに成って行く、その過程に立ち会うのもも他では経験出来ないことですから。
 私の活動は開学式典の準備が主になっていますが、学部間の交流や施設の共同使用などを提案しつつ、遠江大学と連携して誕生する大学を国の内外に伝える作業を手伝っています。」
「そうか、一度それぞれの学部メンバーとの食事会や、全学部の代表を集めた交流会を開きたいものだな。」
「是非お願いします、しかしスケジュール的にどうなのです?」
「食事は毎日とってるから、昼食会や夕食会の余裕は有る、詩織さまと良く食事をするのだが、一緒でも構わないだろ。」
「勿論です!」
「別に香奈が参加する必要はないのだから、そんな嬉しそうにしなくても…。」
「え~、意地悪言わないで下さい、メイドでも何でもしますから。」
nice!(12)  コメント(0) 
共通テーマ:趣味・カルチャー

nice! 12

コメント 0

コメントを書く

お名前:[必須]
URL:[必須]
コメント:
画像認証:
下の画像に表示されている文字を入力してください。