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近衛予備隊-338 [高校生バトル-76]

「それなら、大学に対する理解はどうなのかしら?」
「理解以前に他国に有って我が国に無かったことを知り始めた段階です。
 まだ王立高等学校がどんな教育をしてるのか、国民に伝わり始めたばかりですので。」
「国立学校の教育に対しては違うのでしょ?」
「ええ、スタート時から力を入れて来た観光業に就職した子達が引っ張ってくれています。
 英語を頑張った子が観光関係の職に就き、親より高給だという話が広まり始めていますので。」
「実際に親より高給なの?」
「ええ、基本的な接客を学んだ後、接客実習を経て実習先への就職が決まることが多いそうです。
 実習期間中も働きに応じて給料が支払われていますので、ほとんどの子は真面目に働き仕事に慣れてからの本採用、十八歳前後の素直で真面目な子達はホテルにとっても大切な戦力ですから、そんな子達を他のホテルに引き抜かれてはなるまいと、うちのホテルと同じ水準にしているのですよ。
 ホテルは儲かっていますので問題の有る所は少なく、待遇の良さが知れ渡ってから英語学習と接客に関する学習に熱心に取り組む子が一気に増えたとか。」
「好循環になっているのね。」
「はい、接客の現場で働いてる子達は給料が良いことも有りモチベーションが高く、それが客に好評、リピーターが増えホテルを潤すことに繋がっています。
 どのホテルも上客に来て貰いたいですから従業員の質は重要な要素なのです。」
「良い人材が良い結果を生み出す、その考えが他業種にも広がればね。」
「ええ、労働の質によって対価が変わることは理解されていますので、質の高い労働者を生み出す教育に国民の目を向かせたいです。
 王立大学は遠江大学の協力の下準備が着々と進んでいますが、鳥類の研究に特化した学部はどうです?」
「直接人の生活に関係しない学部だから、スタートは王国で鳥類研究を続けている学者三名に籍を置いて貰う形になりそう。
 でもそんな学部だからこそ、人々に大学を知って貰う切っ掛けに出来ないかと考えているの。
 人の生活から離れた研究、そんな研究を大学で行っていることの意味を考えて欲しくてね。」
「王立でなく国立だったら予算が付けられません。」
「でも、研究は直接生活に関わらない分野でも、調べて知ると言う要素から人間社会に厚みを持たせて来たでしょ。
 この国は雇用の場を増やして来たけど、更に増やすと言う意味も有るのよ。」
「それを支えて行くのは大変そうですが。」
「増税なしでも税収は増えてる、まずは教育関連の予算を増やすところから始めないとね。」
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