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近衛予備隊-320 [高校生バトル-74]

「王立高等学校の生徒は品行方正な子ばかりなのかしら?」
「そこまで真面目な子ばかりでは有りませんが、人を傷つける行為をしたら除隊…、今は退学にすると明言しています。
 近衛予備隊としての初期は入隊試験が緩かったことも有りトラブルがそれなりに有りましたが、今はその頃とは違い子ども達にとって憧れの存在になりました。
 それを誇りに感じ互いに注意し合っているのでトラブルは少ないのです。」
「少々羽目を外すぐらいの子の方が、大人になって活躍するとか聞いたことはない?」
「その辺りは近衛予備隊スタート時から近衛隊の人達が色々と企画してくれて、今でも彼らの好奇心を満たす為のキャンププログラムを行っています。
 暫く前に、軽い気持ちで終身刑の人達と共に働いてみたいと言い出した子がいましてね。」
「犯罪に関する教育の一環で刑務所の話を知ったのね。」
「ええ、そのまま山奥の刑務所暮らしを体験させてあげたのです。」
「それって…。」
「心身共に逞しく成長して帰って来たのだとか。
 囚人たちは十五歳の少年とどう接して良いのか随分戸惑っていたとか、その記録を読ませて貰ったのですが、面白かったので本にまとめる様に指示しました。」
「それは興味深いわね。」
「刑務所暮らしから帰って来た子は英雄扱いされたそうですが、本人は犯罪を犯させない環境造りを目指して動き始めたと聞いています。」
「う~ん…、日本の教育システムでは出来ない事だわ。
 授業を受けてる時間は日本と比べたらうんと少ないし、多くの知識を得ることは無いのだけど…。
 ジョン、人が学習することの意味を彼らと共に王国から発信して行きたいわね。」
「自分的には他国の教育環境に追いつけだったのですが。」
「理数系を考えたら追いつけそうに無いと聞いているけど…。
 ねえ、高等学校の新入生が学習で躓くことは何?」
「一番は英語です、英語のテストをクリアし英語での面接を経ての入学ですが、直ぐに生活の全てが英語になって行きます。
 そうなることは入学前から分かっていた筈なのですが、甘く考えてた子達は苦労するそうで。」
「みんな乗り越えられているの?」
「始めは戸惑い逃げ出したくなる子もいるのですが、周りの助けを借りて良いのだからと励ましながら、英語で考える癖を付けようとかの助言、何とか乗り越えている様です。
 面白い話が有りましてね、英語中心の生活していても、全然追いつけていなかった子が、突然普通に理解し話せる様になることが有るのですよ。」
「どういうこと?」
「良く分かっていないのですが、脳の言語が唐突切り替わるのだとか。
 そんな例も有るのだからと励まされるのですが、子どもだから慣れるのは早く苦しむ期間は然程長くないのですよ。」
「厳しそうだけど近道でも有るのね、他の教科はどう?」
「皆、基礎的なことは入学前に学習しているのですが、その再確認を終えてからは苦手教科から離れても良いので、ただ目標としてる仕事によっては苦手教科に取り組む必要が有りまして、化学を苦手にしてる子が多いでしょうか。」
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