SSブログ

近衛予備隊-317 [高校生バトル-74]

 考えてみると自分の周りには王立高等学校の生徒を含め意識の高い人しかいない。
 生活環境も違うのでシャルロットの言う通り、一般の国民とは感覚にズレが生じていてもおかしくないと思う。
 自分の生まれ育った近くの部落へ行くのにも護衛が付くのだが、命がけで俺を守ると言ってくれる大統領親衛隊を危険な目に合わせたくないので、それすら控えめにせざるを得ない。
 前大統領時代の比ではないが反政府組織は今も存在しているのだ。
 そんな訳で詩織さま同様、王宮から気軽には出られない。
 国境なき合唱団の本拠地、王宮前広場には一般人も入れるが、厳しいチェックを必要とするエリアとなり実質王宮の敷地内。
 そこでは気軽に人と接することが出来るが、ほとんどが観光客。
 家族揃って王宮の一部で暮らしているが、徐々に広げられて来た王宮の敷地内には様々な施設が有るので問題を感じることは無い、ただ国民との交流は限られている…。

「詩織と一般人との交流はかなり限定的ですが、問題を感じることは有りませんでしたか?」
「一人の人間が付き合える人数には限りが有るし、中途半端に交流の機会を作っても彼らの真意は分からないでしょ。」
「ですよね、我々に対しては他所行きの話しか出て来ないでしょうから。」
「ジョンが高等学校の生徒との時間を多めに取っているのは彼らが本音で話してくれるからでしょ。
 それは私も同じなのよ、ジョンは民衆と自分とのギャップを気にしてるの?」
「はい、ふと気付いたら山猿だった頃の自分を忘れかけていまして。」
「社会全体から貧困層を減らしつつ有るのだから気にしなくて良いと思うわよ。
 貧困対策は進んでいるのでしょ?」
「進んでると言いますか…、貧困層の就職斡旋や生活改善を進めて来た結果、かつては貧困層を下に見て差別していた人達の収入を上回り、新たな問題が起き始めています。」
「国民全体が中流意識を持てる社会になるまで、時間が掛かるのは仕方ないわよ。
 今まで自分より貧乏な人がいることで満足していた人達は面白くないのでしょう。」
「そうだと思います、国民の心情を推し量りながら改革を進めて行くしかないのですが、大人を教育して行くことも考えないと難しいです。」
「国立学校には大人も通っているのでしょ?」
「はい、農業に関する知識を学ぶ人や英語を学ぶ観光業の人はそれなりの人数になっていますが、全体を考えたら極一部ですなのです。
 それでも、必要としてる知識を得る合間に、少しずつ社会に関する教育が出来ているそうです。
 学校で学んでいる大人達は、元々学校運営に協力的な人でしたので理解が早いのだとか。」
「自分の生活をより良くする為とは言え、学ぶ気持ちの有る人達は酒とギャンブルが趣味の人とは違うでしょうね。」
nice!(13)  コメント(0) 
共通テーマ:趣味・カルチャー

nice! 13

コメント 0

コメントを書く

お名前:[必須]
URL:[必須]
コメント:
画像認証:
下の画像に表示されている文字を入力してください。