SSブログ

近衛予備隊-313 [高校生バトル-74]

 国境なき合唱団、アビュニス王国の拠点は宮殿前広場と同じ運用になる。
 歌いたい人が事前に予約を入れる合唱団ミニコンサートは各パートの人数調整をしある程度バランスを取っての演奏会。
 事前審査が有るので下手過ぎる人は舞台に立てないが、そんな人を含めたフリー合唱タイムではパート人数の偏りも気にせず、美紀が作曲してくれた曲を皆で歌う。
 そして、合唱に拘らず、ピアノを囲んで歌遊びを始めとした音楽を皆で楽しむ時間となる。
 オープニング式典の後もこの三つのパートでスケジュールが組まれ、自分も適度に参加した。

「シェリル、思ってたより人が集まらなかったな。」
「公園への入場制限をしたのですよ、ジョン王子がいらっしゃるとあって、制限しなかったらとんでもないことに成りそうでしたので。」
「記念公園に大勢入場してくれた方が良かったのではないのか?」
「入園料からの収入より、映像からの収入の方が遥かに多いですし、賑わってるイメージより、混乱なく楽しめてるイメージを持って貰うことを優先しました。
 警備上の問題も有りますからね。」
「国境なき合唱団がアビュニス王国でも盛り上がるのか掴めていないのだが…。」
「ご心配なく、オープニング式典からの映像は公開直後から視聴回数が跳ね上がっています。
 ジョン王子自ら一般客を巻き込んで輪唱や二部合唱の指導…。
 選挙対策では無いですよね?」
「はは、対策も何も、次の知事選は共和国を王国に乗っ取られてはならないと主張する人が頑張り注目を集めてはいるが、そもそもそんな計画はないからな。
 確かに王国を名乗るエリアは拡大してるのだけど、共和国全体を考えたら微々たるものなんだ。」
「でも大統領が王国の中心的人物で…、国民はどう考えているのです?」
「貧困層の生活は随分改善されたし、マーケットを中心に街は綺麗になりつつある。
 それが詩織さまのお蔭だと言うことは皆理解してるし、詩織さまの写真を大切にしている人はとても多いと聞いている。
 共和国から王国に移行しても国民の多くは反対しないだろう。」
「では、王国に?」
「焦る必要は無い、共和国が王国に飲み込まれた所で今と変わらないからな。
 まあ、王国と言う政治形態を良しとしない政治信条の持ち主たちが頑張ってくれたら、それに反発する勢力とやり合うことになって盛り上がる、その結果どうなるかだな。
 大統領はのんきに歌ってるぐらいが調度良いのだよ。」
「随分のんきだけど、知事選に負けることはないと?」
「心配してくれてたのなら申し訳ないが、私が信頼している部下たちは優秀なんだ。」
nice!(12)  コメント(0) 
共通テーマ:趣味・カルチャー

nice! 12

コメント 0

コメントを書く

お名前:[必須]
URL:[必須]
コメント:
画像認証:
下の画像に表示されている文字を入力してください。