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近衛予備隊-312 [高校生バトル-74]

 アビュニス王国記念公園に新設される国境なき合唱団の拠点、そのオープニングセレモニーに是非近衛予備隊マーチングバンドのエリートメンバーもと招待されたのは、ケイトがお目当てだと思う。
 小鳥との戯れと名付けられたフルートと合唱の為の曲は、その映像が流されるとあっと言う間に人気曲となり、ケイトと共に歌いたいとの問い合わせが多数寄せられている。
 ケイトは一曲演奏するだけなら毎日でも大丈夫だと話したそうで、店での実習終わりやマーチングバンド、エリートチームの演奏に合わせてとスケジュールを組んでいるところ。
 そんなタイミングで注目を集めたいとアビュニス王国のシェリルは考えたのだろう。

「シェリル、ホントはケイトだけで良かったのでは?」
「あら、大統領閣下はその直属とも言える近衛予備隊マーチングバンドを過小評価してません?」
「確かに特別実習生の指導が有り、特にエリートチームは観客の前で演奏する機会を多くしてるからか演奏が良くなってるのは感じてるよ。
 それでも、観客にとっては普通の演奏みたいで、反応は大して良くないんだ。」
「でも、ネット上には彼らの成長ぶりを熱く語り合う人達がいるのよ。
 彼らの成長記録映像はずっと公開して来たでしょ、世の中には暇な人がいて、そこから成長が早いとかどうとか、でも彼らにとって一番の見どころは特別実習生の指導によってマーチングバンドメンバーがどう成長したか。
 そこにはブラスバンドの指導者達も注目してるのよ。」
「厳しい評価も有るのかな?」
「始めの内は有ったのだけど大人しくなったわ。
 あら捜ししていた人達の頭にはコンクールと言う存在が有ったのだけど、近衛予備隊マーチングバンドはコンクールを意識していないと指摘されてね。
 そもそも気軽に参加出来るコンクールそのものがないのだから。
 批判したい人達は自分の狭い価値観に囚われていると、止めを刺す意見が出てからは、皆で彼らの成長を見守りながら、音楽教育に関する情報交換の場になってるの。」
「それは知らなかったな、でも、それだけではエリートチームをセレモニーに呼ぶ理由にはならないだろ?」
「ここの高校でブラスバンドをやってる子達も興味を持ってね、交流したいし自分達も特別実習生の指導を受けてみたいと。」
「なるほど、高校生の合唱団はそのまま国境なき合唱に参加出来、活動の幅が広がるだろうがブラスバンドはな。
 う~ん…、スタート時は意識してなかったが、国境なき音楽家集団と言った流れも考えるべきなのかな?」
「合唱は旅先でも気軽に参加出来るけど、楽器となるとね、普通の人はコントラバスやチューバを持って旅行に出かけないでしょ。
 でも、国境なき合唱団の活動に花を添えることは自分達なら出来るかもと、高校生達が言い始めてね。」
「そうだな、自由度の高い活動だから、ブラスバンドの演奏が有るのも悪くない、美紀とも相談してみるよ。」
「高校のブラスバンド部が近衛予備隊のマーチングバンドと協力し合いながら競い合うことを意識してるのだけどどうかしら?」
「それは良いね、観光船での移動なら費用も嵩まない、担当者に指示しておくよ。
 エリートチームに入れなかった連中にとっても良い刺激になるだろう。」
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