SSブログ

近衛予備隊-308 [高校生バトル-73]

 美紀は詩織や出身大学と相談、その結果特別研修と言う名目で若い指導者を受け入れることに。
 大学生や卒業生なのだが音楽大学での留学には特別な意味が有り、音楽を教えてくれる人のいない国では、そこに価値を見出したとしても留学とは呼びたくないそうだ。
 それなりに力は有っても音楽で生活して行けなかったり挫折を経験、それでも英語の得意な人が十名応募してくれた。
 住まいを無料で提供する代わりにマーチングバンドの指導をして貰い、彼らのパフォーマンスを発表する場として、ホテルのラウンジを使って貰う。
 ギャラに関しては客の反応を見てからとした。

「美紀、明日到着する研修生にはどんな話をすれば良いのです?」
「まずは難しく考えずに、子ども達の練習に参加して貰えば良いと思うわ。
 自然に子ども達と仲良くなって楽器を教える、そんな出会いが彼らには必要なのよ。」
「では我々は見守っているだけで良いのですね。」
「良いけど、大統領ってそんなに暇なの?」
「平和な国で任せられる部下がいますので。
 大統領から色々口出しされたら部下達も動きにくいです。」
「確かにジョンが国民から尊敬されてるのは凄く感じる、尊敬する人の為にも真面目に働こうって感じなのかしら?」
「どうですかね、自分は部下のことを信頼していますので。」
「なるほど、明日来る人の中には挫折を経験した人もいるのだけど、尊敬や信頼といった人間関係もここで学んで欲しいものだわ。」
「美紀は、前から彼らと交流が有ったのですか?」
「二人とはね、ただ、同期にも挫折してから立ち直れない人がいたりして、私もピアノ演奏に関しては挫折した訳で…。」
「演奏で名声を得るのは大変なのですね。」
「ええ、自分の演奏を人気有るトップ演奏家と冷静に比較分析出来れば良いのだけど、私の通ってた音楽大学は入学するのも大変なの。
 そこに入学出来た自分がコンクールで惨めな結果しか残せないと思ってしまうとね。」
「音楽家としての仕事に就けないのですか…。」
「妥協して音楽教室の先生や他の道に進む人もいるのよ。
 明日来る彼らも近衛予備隊の子達との交流を通して色々学び考えることでしょう。
 ホテルでの演奏は彼らにとって楽しみだと思うし。」
「難しい曲を演奏されても客は喜ばないのですが大丈夫でしょうか?」
「そうね、ホテルのラウンジで誰も喜ばない類の現代音楽を演奏するようなら直ぐに帰らせるわ。
 コンクールを目指して解釈の難しい曲ばかり演奏して来た人は、何の為の音楽なのかと言う根源から外れてしまう人もいてね。
 ホテルのお客さんにはリラックスして音楽を楽しんで欲しいし、マーチングバンドの子達には演奏を楽しんで欲しいでしょ。」
nice!(11)  コメント(0) 
共通テーマ:趣味・カルチャー

nice! 11

コメント 0

コメントを書く

お名前:[必須]
URL:[必須]
コメント:
画像認証:
下の画像に表示されている文字を入力してください。