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近衛予備隊-307 [高校生バトル-73]

 王宮前広場の国境なき合唱団、人々にそんなイメージを持って貰いたいと思っているのは、我が国発の文化として発信して行きたいからだ。
 その為にはアビュニス王国や遠江王国での活動が始まる前が勝負と考え、王宮前広場では毎日様々な企画を。
 国境なき合唱団主催としての催しは、その光景を撮影し編集、映像は毎日発信している。
 企画は皆で出し合っているのだが、簡単な歌遊びをしたり輪唱したり、ざっくり二つに分けて簡単な曲の二部合唱に挑戦したりも。
 自分も時間を作って積極的に参加している。
 大統領が遊んでいて良いのかと言われそうだが、一つの目標として音楽溢れる国にすると宣言してして有る。
 詩織の友人である美紀は、作曲中の曲から引用し歌遊びの形で観客に教え歌って貰っている。
 その反応を見ながら愛唱曲を完成させるのだとか。
 彼女が歌企画の合間に、一つの曲をボサノバ風やクラシック調などにアレンジして演奏してくれるのも好評で、国境なき合唱団の為に改装された王宮前広場は音楽で溢れている。

「美紀、さすがプロの音楽家は違うと感じるよ。」
「ピアニストの道は早めに諦め作曲を活動の中心にしたのだけどね。」
「ピアニストとして生きて行くのは難しいのですか?」
「かなりね、日本ではピアノを小さい頃から習い事として取り組む人が多いのだけど、コンクールで結果を出しクラシックのピアニストとして認められる人は極僅かなの。」
「我が国で少しばかりピアノを流行らせた所で職業としてのピアニストは無理なのですね。」
「それは別問題かな、クラッシックのピアニストとして大ホールに人を呼ぶのはハードルが高くても、ホテルのラウンジで演奏するとかの場が有ればね、音楽はクラシックだけでは無いし、結局需要が有るかどうかなのよ。」
「その辺りも検討して作曲の道へ?」
「遊びで作った曲が何故か受けてね、そこから話を持ち掛けられている内に本業になったと言う感じかな。
 ピアニストとしては才能ある人にかなわないと思い始めてた時期だったから迷いは無かったの。」
「音楽が盛んになったら、音楽家と言う職業も広がると思いますか?」
「そうね、直ぐに大勢とは行かなくても需要は増えると思うわ。
 近衛予備隊でマーチングバンドを結成したら、教える人が必要になったでしょ。
 子どもを中心に、楽器に取り組める環境を整えて行くことが出来たら良いわね。」
「やはりマーチングバンドのレベルを上げるには優秀な指導者が必要ですか?」
「ええ、マーチングバンドは指導者次第、まだ見つからないの?」
「国内にはいませんので、どうしても海外から、一番結び付きの強い日本人は英語での指導がネックになっています。」
「そっか、予算は?」
「お客さんに喜んで貰える程度にして貰えたら、収入に繋がると考えていますので、詩織さまとも相談してそれなりの額を用意しています。」
「でもね、今のレベルなら基礎を教えられさえすれば、指導者としての力量はまだそれ程必要としないと思うわ、まずはハイレベルな指導を受け止められるだけのレベルまで上げることが先。
 指導者として力量の高い人にお願いするのはそれからで良いのよ。
 その程度なら、大学の後輩でも、軍楽隊の人達よりはマシだから声を掛けてみようか?」
「そうですね、いきなり上手な演奏が出来る訳では有りませんものね。
 担当者と相談して頂けますか?」
「ええ、音楽大学を卒業しても思う様に音楽活動が出来てない人もいてね。
 そんな彼らにとっても、近衛予備隊マーチングバンドの指導に参加することはプラスになると思うの、住まいを用意してくれれば給料は安くて構わないけど、彼らが自分達のパフォーマンスで稼げる場が有ったら喜ぶでしょうね。」
「分かりました、人数は何人ぐらいになりますか?」
「う~ん、どうかな…、一度詩織と相談してみるわ。」
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