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近衛予備隊-287 [高校生バトル-71]

「ジョージは政府の教育省に入ってくれたのだね。」
「ええ、王国騎士団では学校現場と教育省の橋渡し的な役割を担当していましたので。
 これからジョン王子の意向に沿った形で教育システムを強化して行きます。」
「カリキュラムは固まってきたのかな?」
「はい、義務教育の核として子どもが大人になるまでに学んでおくべきことを必須教科としました。
 してはならない犯罪行為をすると罰としての強制労働…、王子、本当は子ども達に囚人の暮らしぶりを見せようと思ったのですけどね。」
「何か不都合なことでも?」
「強制労働の現場へ行ってみたのですが、囚人たちは結構楽しそうに作業していまして、刑務所暮らしで自由が制限されていても、国の為に働いていると話す人がいたり…、出所後の再犯率が下がってるとは聞いていたのですが、間違って子ども達が刑務所生活に憧れてはまずいかと。」
「はは、出所後に給料を貰って同じ作業をする人がそれなりにいるぐらいだからな。
 罰だから自由は制限されているが出所後のことを考えたシステムを大統領親衛隊が考えてくれたのだよ、仲間と協力し体を使って働くことで気持ちが変わるそうだ。」
「罰より更生を重視しているのですね。」
「彼らに給料を払う必要は無いだろ、大切に扱えば貴重な労働力なんだよ。」
「なるほど…、最近既存の私立学校の調査を進めているのですが、体罰の問題が浮かび上がって来ていまして。」
「体罰?」
「テストの点が悪かったら無理に沢山走らされたりとか、体罰を取り入れてる学校の教師達はその有用性を語るのですが、子ども達の立場になって論理的に考えると無意味どころかマイナスではないかと。」
「この国の次代を担う子ども達がひどい目に遭っているのは許せないな、我々は個人の能力差を理解し、テストの点数は適性判断に使うぐらいだろ。」
「はい、それとテストは目標でも有ります、その結果でランクアップ、次のステップへ進んで行くことで単位認定、求職時に企業へ提示することが出来ます。」
「その辺りのことは子ども達も理解しているのかな?」
「小さい子にとってはゲームでしか有りませんが大きい子達は理解してると思います。
 学習をさぼる子もいますが、多くの子がランクアップを目指し学習に取り組んでいるのです。」
「学習したくなる様なご褒美は充分なのかな?」
「ええ、王子に教えられた通りバランスを考えていますので。」
「それで私立学校はどうして行けば良いと考えてる?」
「今は少し微妙な状況なのです。」
「微妙?」
「福祉団体が運営していた学校は国立への移行が進んでいますが、国立学校の教育システムがレベルアップしたことで私立学校から転校する児童が増え始めたのです。」
「受け入れ態勢と私立学校の経営に問題が出て来そうだな。」
「我々は有る程度予測してましたので大きな問題にはなりませんが、転校させない親の中には、国立学校を貧民の為の学校と差別的に考えてる人がいるのです。
 そんな私立学校で体罰とか行われていると我々は何も出来なくて。」
「そうだな、教育に関する法を強化して対応して行こうか。
 体罰を禁ずる法律は直ぐにでも取り掛かれるが、他にどんな法が必要になると思う?」
「そうですね…。」
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