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近衛予備隊-273 [高校生バトル-70]

「裁判の仕組みも大きく変えました。
 罰則として、刑務所送りになる最低ラインは一か月以上の強制労働、それ以下は罰金刑ですが、逮捕されたら直ぐに、裁判官と検察官、弁護士で予備審査を行い、この時どう考えても一か月以上の強制労働になると三者が判断したら、刑期未定のまま直ぐに刑務所に送られます。
 弁護士が無罪を主張した場合でも、本人の生活状況が好ましくなければ、裁判官の判断で刑務所研修を受けさせる制度を始めています。」
「有罪になっていなくても?」
「まだ大きな犯罪を犯していなくても小さな犯罪は確実に犯している連中が対象、そのまま暮らしていたのでは良からぬグループを拡大させることに繋がると判断した場合です。
 労働は軽めで、更生した先輩と話す機会が持たれます。」
「単に罪を償わせると言う発想ではないのね。」
「ええ、兎に角働ける人を牢に閉じ込めておくのは損失でしか有りません。
 罰金刑の人も、罰金を払えなければ刑務所での労働になります。
 罰金額を高めに設定し国庫を潤わせようと考えているのですが、犯罪を犯して捕まったら山での強制労働、誰にでも分かり易くなりました。」
「そのシステムで冤罪は起きてないの?」
「どうですかね、取り敢えず働いて貰って、冤罪だったらその分働いた報酬に上乗せして支払うことになっていますが、そんなややこしい犯罪は僅かだと思います、現行犯逮捕がほとんどですから。」
「その僅かが問題になったりしないかしら?」
「疑われるだけの行為をしてるから逮捕されるのです。
 そんな行為も裁判官の判断で違法になります。」
「随分乱暴な気がするのだけど。」
「法の盲点を突く様な行為自体を禁止、正常な経済活動や公序良俗に反する行為は既存の法に触れていなくても重罪という法が国会を通っています。
 それが可能になった背景には、戒厳令の時に裁判官からも多数の逮捕者が出たこと。
 あの時以来裁判官の不正を監視するシステムが確立されまして、微妙な裁判には判決に関して第三者が意見を出すことが出来尊重されているのです。
 裁判官の権限を高めましたが、彼らの判決は多くの人に監視され不正や判断ミスを犯しにくく。
 裁判官達はそれを喜んでいるのですよ、責任の重さが軽くなっていますからね。」
「色々微妙な気がするのだけど。」
「取り敢えず刑務所に送って強制労働ですが、その環境は以前の刑務所と比べたら格段に良くなっているのですよ、刑務所に入って彼女を見つけたいなんて冗談が出るぐらいに。」
「そっか、強制労働と言っても、そんな作業を普通に仕事としてやってる人もいるものね。」
「ええ、罰を受けるのではなく国の為に働く、それが受刑者に対して一番初めに教える事なのです。」
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