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近衛予備隊-263 [高校生バトル-69]

 遠江王国アビュニス王国、そして我らが王国を舞台とした作品群はその数を増やしつつ有り、我々の社会に様々な経済効果をもたらしてくれている。
 企画に参加してくれた人達は著作権の整理に頭を悩ませながらも、皆で創り出した架空の世界、その奇想天外な歴史に新たな逸話を加え続けることを継続中。
 祖先の一人は千年前の英雄だと設定された俺だが、事実とかけ離れていようが実害はないのだ。
 作家達が勝手に想像した世界は、現実社会とリンクされ観光客を楽しませている。
 隣村との境に作った眺望の良い砦は、そこを舞台にしてくれる作家が多いことも有り人気スポットに。
 立派な施設でなくともそこに作られた歴史と物語が有れば観光名所として成立する。
 一人の作家の設定に合わせて花木を植えて有るのだが、今度発表される作品では井戸にまつわる話が出て来るとのことで、今は井戸掘りの真っ最中。
 たとえ水が出なくても歴史を感じさせる井戸が完成すれば、他の作家はその井戸を別の時代に別の形で自分の作品に登場させるだろう。
 そんな作り話に混じり実際の国情を語る本も…。

「実験的三王国と銘打ち私達のことを分析し紹介する本が出されるのね。
 今まで他国の実情も学んで来たから、実験的と言う表記には納得だけど。」
「他国の人達にどう受け止められるか興味は有るよな。
 アビュニス王国は観光業に牽引され経済状態が格段に良くなっただろ。
 俺達の王国が牽引する共和国は前大統領が及び腰だった分野も含めて改革中、給料面などで周辺諸国のレベルを追い越し始めている、この状態を継続出来れば一つの目標としていた、大人達が普通にスマホを持てる社会に、そうなれば更なる経済発展も期待出来る。」
「でも、気は早いけど先進諸国の失敗は参考にしないとね。
 発電一つをとっても難しい問題が多いでしょ。
 地球温暖化対策を考えたら原子力発電なのかも知れないけど、我が国では導入出来なくて。」
「ああ、コスト的に無理なだけでなく国土を汚染する可能性が有るからな。
 今は小規模水力発電を充実させつつ有るが、火力発電、特に石炭や石油に頼るのではなく効率が悪くても観光森林などを広げる時に出て来る植物由来の燃料を使った火力発電を主にして行くことになるかな。」
「効率が悪くても雇用の拡大には繋がるのよね?」
「まあな、観光施設周辺の森を綺麗にしていることで観光客に喜んで貰えているだけでなく、人間にとって好ましからざる生き物の数を減らすことにもなっている。
 自然林は災害にも繋がりかねないから人工林を増やす計画を立てて貰ってるよ。」
「どういうこと?」
「自然林の急斜面は大雨が降った時に崩れ易いんだ。
 崩れた土砂や木が川を堰き止め水が溜まる、それが次の大雨で崩壊すると洪水を発生させかねない。
 今までも、そんな被害は有ったのだが、何の対策も取られて来なかったんだ。
 人工林にしても手入れをせずに放置したら同じことになるのだが、より崩れにくくする木を植え管理することで災害を減らせるのならと、国軍の幹部も動いてくれているよ。」
「国軍の幹部はジョンが動かしてるのでしょ。
 そんな話を聞かされると、ジョンが大統領になったのだと改めて実感させられるわ。」
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