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近衛予備隊-240 [高校生バトル-66]

 俺は英語教師に関する思い付きを詩織さまに相談した。

「面白いわね、留学生から学費と寮などの費用を払って貰った上で子どもに英語を教えて貰うのなら予算は掛からない、語学教育の基礎なんて質より量なのだから良いと思うわ。」
「質より量、そこまで軽く考えて良いのですか?」
「大丈夫、日本の中学で英語を教えてる人が英語での対話が出来なかったなんて話を聞いてるのよ、しばらく前の日本ではまともに英会話が出来なくても、中学生に対して高校受験向け英語教育が出来たそうでね。
 中学生の相手しかしていないのなら、まともに会話出来なくても支障がなかったのでしょう。」
「それって…。」
「普通に英語を使う機会が無かったのよ、意識の低い英語教師は特にね。
 逆にこれから英語を教えようと言う志の有る人の方が意識が高くて上手に教えるかもよ。
 意識が高い人向けに実験教育コースを設けて色々自由な授業を試せるとかどう?
 本気の人達なら大学で教えて貰うより自分で色々試してみたいと思う筈だわ。」
「それで良ければ、こちらとしては教材を用意し読み書きの力を定期的に確認する為のテストを行うぐらいに出来ますか。」
「スタートはそんな感じで良いと思うけど、テストで合格点を取れたらランクアップとかはどう?
 レベル1から始めて、子ども達に競わせるの。
 こちらで目標を作っておけば教員志望の学生もやり易くなるでしょ。
 観光の一環として子ども達と交流する時間を作るのも悪くないと思う、邪な目的の人が居ないか監視する必要は有るけど。」
「はい、まずは近衛予備隊の英語力向上を目指してスタート、それからここの学校で試してみた後、義務教育の為に新設する学校へと広げて行ければ…。
 問題は留学生や子どもとの交流を希望する観光客を集められるかどうかです。」
「留学生は日本から呼べると思う、日本では教員資格を得る過程で教育実習が有るものの極めて短期間なの、ここでは短期から長期まで様々なコースを用意出来るでしょ。
 観光客は企画次第かしら…。
 まずは、英語教員養成専門学校の設立と寮の建設、寮はコテージレベルで構わないと思うから、余裕を見て半年後の開校を目指しましょう。
 予算の少ない人向けに教室で寝泊まりするコースを用意すれば、こちらとしても寮を建設するコストが抑えられるわね。」
「英語教員養成学校の講師とかはどうしますか?」
「予備隊の上級生に任せてみてはどうかしら、実際に英語を教えてる子が何人もいるでしょ。
 教えを必要とする程度の留学生より余程優秀だと思うわよ。」
「講師が若くて留学生が反発したりしませんか?」
「本来ならカリキュラムに沿って行うべき教育、でも今は質を重視出来ない理由が有るから自由度が高く、それ故本当に教育と向き合う人を対象にした実践的英語教員養成学校が成立していると言い切ってしまえば良いのよ。
 予備隊の上級生はジョンが育てたのでしょ?」
「育てたと言う程のことはしていませんが、空いた時間に彼らと話し合う様にはして来ました。
 ただ、自分は他と比較が出来ないので、自分が教えたり提案したことが正解だったのかどうかは判断出来ません。」
「難しく考える必要は無いのよ、語学学習に対して嫌にならずに取り組める環境を作れているし、実際に学習したことを使える場が有る、そこが重要なの。
 それに気付けた留学生は私達の英語教員養成専門学校を絶賛する、そして自分で気付けない人達にそれを気付かせるのが講師の役目、その辺りを担当する予備隊メンバーが理解していれば新しい学校は必ず成功すると思うわ。
 留学生の募集は雅に手伝って貰えば簡単だからね。」
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