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近衛予備隊-239 [高校生バトル-66]

 詩織近衛予備隊第三部隊は共和国中から入隊希望者を受け入れたことも有り随分拡大した。
 隊服に憧れて入隊して来る者もいるが、入隊試験をクリアした子達は真面目で学習や職業実習に対して真剣に取り組んでいる。
 工場が実習現場として彼らを受け入れると、子ども達の前で恥ずかしいことが出来ないからか全体の生産性が向上するそうだ。
 そんな彼らに新たな課題として投げかけたのが義務教育の推進、それに対して大きな手応えが有ったのだが…。

「ジョン、識字率の低さは予備隊の子達も残念に思っているのだけど、英語教育との兼ね合いで迷ってるみたいよ、二か国語をマスターするのは大変だけど、今後の観光業を考えたら英語は必須でしょ。」
「そうだな、英語だけに出来たら話は早いが、そうもいかないものな。
 制度上、英語学習は義務と位置付けていないが履修を推奨する上位に入れて有る、英語が出来たら職業選択の幅が広がることは間違いないのだが。」
「義務としてはどちらか一つを選択出来ればと思うのだけど難しいのかしら?」
「う~ん…、読み書きは英語だけでも良いのかな。
 でも問題は英語教師の確保かな、国軍への入隊で英語力は重視されていないだろ。
 給食担当の小隊編成は目途が立ちつつ有るが、教師担当は必要な人数を揃えられるかどうか微妙、近衛予備隊の力が不可欠になりそうなんだ。」
「英語を話せない人が英語を教えるのは無理だものね、この国で英語を話せるのは…。」
「一番は観光客だな、いっそ観光客に頼るか?」
「頼るって?」
「読み書きは兎も角、英会話はどれだけ話したかが重要だろ、様々な国からの観光客程、英会話を学ぶ相手として相応しい人はいないと思わないか?」
「確かにそうだけど、彼らは遊びに来るので有って子どもの教育と言う仕事に来る訳では無いのよ。」
「確かにそうだが、旅の途中で現地の子と触れ合えたら嬉しくないか?
 遠江王国へ旅した時に出会った香菜とは今でもメールのやり取りをしているのだろ?」
「ええ、色々教えて貰ったり相談に乗ったりしてるわ。
 でも、どんな形にするの?」
「そうだな…、まずは近衛予備隊メンバーの英語力向上を手伝って欲しいと、事情を正直に説明し何らかの特典を用意して短期ボランティアの募集ってどうかな?」
「う~ん、そうね…、こちらが下手に出るより近衛予備隊現役メンバーと交流出来るみたいな企画から始めてみるのはどうかしら?」
「あっ、待てよ、逆手を取って英語教師養成学校を作って留学生を受け入れるってどうだ?
 留学生の実習として教壇に立って貰うんだ。」
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