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近衛予備隊-238 [高校生バトル-66]

 義務教育を進めて行くに当たっては、国民から大統領に対して何故国軍なのかと言う問いが有ったのだが、彼は自分で答えず俺に訊く様にと応じた。
 俺を後継候補として国民に認知させる意味合いが有ったのだと思うが、こちらとしても大統領に説明して貰う為の原稿を用意するより話が早く助かった。

「ジョンによるテレビ番組での解説は分かり易くて好評だったみたいね、大統領も満足しておられたそうよ、軍隊に教育を委ねるなんて随分乱暴な話だけど、ジョンから爽やかな笑顔と共に平和な世の中で軍隊の役割が変わっても良いと聞かされたら、人々は簡単に受け入れてしまうのね。」
「バックに詩織が居ることは知られていますし、予算が充分に無い現時点では最善策ですから。」
「国軍とは話を始めたの?」
「はい、戒厳令前にここで訓練を受けていた国軍の知り合いが大統領親衛隊の上級職になっていたので、大統領にお願いし義務教育の担当に指名して貰いました。」
「大統領の信頼を得ているのね、ジョンが大統領になったら直属の部下になる人達とはどんなことを?」
「今後の展開として、軍の土地では有ったものの、あまり使われて無かった土地を中心に国営農場を広げて行き給食用の食材を生産しますが、そこでは子ども達に農業実習をして貰います。
 作物の一部は貧困家庭への支援に、それが余る場合はマーケットで買い上げて貰おうかと。
 そういったお金で、少しずつ教材を充実させて行きたいと思っています。
 給食を担当するのは学校の規模にもよりますが食材確保と調理で一個小隊になります。
 学習面を担当する人は軍内部で希望者を募りトレーニングしてとなりますが、今後は教員希望者を軍での採用時に受付けます。
 将来的には軍から切り離した組織を考えていますが、まずは大統領をトップとする国軍によって教育制度を充実させて行くことになります。」
「そうね、組織の構築を考えても国軍に基礎を任せるのは良いかも。
 今までの学校はどうするの?」
「しばらくはそのまま続けて貰います、読み書きと算数を教えていれば義務教育を実行している学校と認め、給食に関しては個別に相談して行きます。
 後は王国で実験的に行って来た教育の内、成果を上げているものを広げて行きながら…、時間は掛かると思いますが今よりまともな国にして行きたいです。」
「今まで高校へ進学するのは富裕層の子弟だけだったのでしょ、その辺りはどうするの?」
「まずは詩織近衛予備隊を優秀な子の受け皿にするつもりです。
 学費無料の代わりに労働実習を通して稼いで貰いますが、現在のリーダー達に期待しています、彼らは近衛予備隊拡大構想に対して乗り気ですからね。」
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