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近衛予備隊-237 [高校生バトル-66]

 アビュニス王国の建国祭には新しい女王陛下に連なる王族と言う立場で式典に参加したが、遠江王国王家の皆さんは俺とシャルロット、そしてルーシーをより詩織さまに近い位置に立たせてくれた。
 俺達の隣には新たなプリンセス、シェリルが。
 俺達としてはアビュニス王国に住むシェリルに目立って欲しいと話したのだが、彼女は話題性を重視したいと。
 確かに俺達に関する話題は多い、第一子の誕生予定とルーシーとの結婚、そして大統領が後継候補として俺を指名、とても小さく正式な独立国でもない国で勝手に王子を名乗っていた俺が、共和国の大統領に推薦されたのだ。
 その発表時、大統領は国民に向け、俺の提案に従い最後の仕事として義務教育を進めて行くとまで。
 シェリルがプリンセスになるのも大きな話題だと思うのだが、国の規模を考えたら俺が王族の中で一番高い地位に近づいていると言うのが彼女の言い分だった。
 一通りの式典や行事を終え。

「プリンセス シェリル、お疲れさま。」
「ジョン、プリンセスは公式の場だけにして下さい、皆の目をくぎ付けにしたロイヤルカップルの前では恥ずかしいです。」
「自分達は全然ロイヤルじゃないよ、近衛予備隊に入って無かったら山猿レベルだったからな。」
「いえ、たとえ幼少期がそうで有ったとしても、気品溢れる振る舞いは王家の名に恥じぬもの、私は真似しようとしたのですが撃沈しました、やはり裏方の方が向いているのでしょうか?」
「いやいや、まだこれからだよ、これからプリンセスとして振舞う内に身に付いて行くものさ。
 経済の立て直しを進めて行く過程でプリンセスの肩書は役に立つし、その肩書を意識していれば自然と背筋が伸びるというものだよ。
 まだ様々なことを学んでいる最中なのだろ?」
「そうですね、頑張ってみます。
 ジョン、式典のことが有ってなかなか聞けなかったのですが、義務教育の普及はどんな形で進めていくのですか?」
「興味有る?」
「この国でも義務教育は有りますが、今のままで良いのか疑問に感じることが有りまして。」
「ふむ、うちの共和国は教育が遅れているから識字率が低いし貧困問題も有る。
 だから欲張らず、義務なのは学校で給食を食べること、昼食だけでなく希望すれば朝食や夕食も学校で食べられる様にする、栄養面に問題の有る子が少なからずいるからね。
 学習面では読み書きと算数、それと生活に関する安全衛生面の学習を義務とし、職に就くまでの助言を重視したいと考えてる。」
「学習に関してはシンプルなのですね。」
「家の手伝いをしなくてはならない子もいるから、学校で拘束するのは食事前後が中心なんだ。
 但し、義務教科以外で多くのことを履修出来る様にしたい。
 履修自由な教科にも興味を持ち学習したいと思わせられるかどうかは教師の力量次第だけど。」
「国軍の兵士が担うのですよね?」
「ああ、だから教師に質は求められない、子どもにとっては運次第になると思ってる。
 でもね日本の公立学校に通っていたスタッフは、どんな教師と出会うかは、どうしても運不運の側面が有るが、教育システムを強化して行けば才能の有る子を埋もれさせることは無いと話してくれたんだ。」
「教育システムか…、義務教育の基本がシンプルなら学習の苦手な子に余計な負担を強いることは無く、用意されたカリキュラムに興味を持って取り組むのであれば学習に対して前向きになりますね。」
「ああ、そこが狙いなんだ。」
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