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近衛予備隊-234 [高校生バトル-66]

 シャルロットの懐妊はまだ公式発表されていない。
 急いで発表する必要はなく今は発表するネタが沢山有るから、タイミングを見計らっての予定だ。
 生まれた子は王位と無関係だが、子どもが生まれるのは目出度いこと。
 遠江王国の王家では国王の孫が何人も生まれているが、やはり王位には関係ない、それでも誕生する度に国民からの祝福を受けているそうで、日本国のニュースにもなったと聞いている。
 ただ、生まれて来る子のことを考えると、つい血筋を重んじる王国の王の子に思いを馳せてしまう。
 ただの幼児なのに親が王家の一員と言うことだけで注目を浴び自由を奪われてはいないだろうか。
 何も分からない幼児期なら兎も角、思春期を彼らはどう過ごしているのだろうかと。
 自分は王子となったものの誰かに強制されてのことでは無く、村の改革を進めるべく村長になったことの延長に過ぎない。
 王の子として生まれ王位継承権を持つ彼ら全員が、その立場を理解し国民が納得する振舞いを続けられる訳ではなく、それは歴史を紐解けばいくらでも…。

「シャルロット、俺達の子には王位継承権が有る訳でも無く自由に生きて欲しいと思うが、俺達の子と言うことで目立ち余計な期待を持たれたりしないだろうか?」
「ある程度は有るでしょうね、今から心配しても仕方ないけど。」
「我が子には伸び伸びと育って欲しいだろ、国民からのプレッシャーが強くなるのは何とか…。」
「そんなに気にする必要ないと思うわよ、だって私達は国民の税金で生活を成り立たせている訳ではなく、むしろ私達が国民の為に稼ぎインフラ整備などでお金を使って来た、私達が資産として増やしたのは価値が微妙な株ばかりなのよ。」
「そうだな、アビュニス王国の建国が話題になったおかげでうちも潤ってはいるが…。
 なあ、資産家の子どもって誘拐されたりしないのか?」
「警備は必要でしょうね。
 ふふ、ジョンがそんなに心配性だったとは、随分長い付き合いだけど気付かなかったわ。」
「なんか落ち着かないんだよ、俺達の大切な子どもをより良い環境で育てられるかどうか考えると。」
「それは私達だけの問題では無いわね、王国内は兎も角、共和国内にはまだまだ解決されていない貧困問題が残ってるでしょ。
 そこで育つ子達も私達の子どもではなかったかしら?」
「勿論だ、その為の事業も進めてはいるが…。」
「なかなか難しいのよね、マーケット関連の展開でかなり改善されたとはいえ。」
「国の王子としては我が子のことばかり考えていてはダメだよな、共和国では何の地位も力もない俺だが…、貧困対策の予算を増やして貧困層の子にも明るい未来が見られる様に出来ないのかな。」
「アビュニス王国では企業による実験的ベーシックインカム制度の導入を進めているけど、うちの共和国では貧困層の人数が多過ぎるのよね…。
 ねえ、共和国で義務教育を導入し貧困層の子に給食を支給するだけの予算を確保することは出来ないかしら?」
「う~ん…、簡単ではないが…、国軍の訓練として子ども達の為に食材を作り、訓練の一環として給食を作る、そして明日の国家の為、国軍の兵士が教師になると言うのはどうだろう?」
「平和だから訓練の一環として土木工事をしてるものね。
 そもそも他国から攻め込まれても、それに対抗出来るだけの装備は無く、周辺諸国と仲良くするしかなく、近くの国も似た様なものだから軍事費を抑えたいところだけど軍は雇用の場でも有るから…、大統領との交渉はジョンの役目になるけど、最後の一押しは詩織さまにお願いしても良い案件だと思うわよ。」
「そうだな、我が子が生まれるまでには何とか道筋だけでも付けたいと思う、近衛隊にも手伝って貰い大統領を説得する準備を始めるよ。
 王国の皆にも教師役の訓練を手伝って貰わないとな。」
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