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近衛予備隊-230 [高校生バトル-65]

 俺達は歴史や文化のことを考えると残念な気持ちになることが多かった、この国に遠い過去の文献は残っていないし、歴史的な遺物も存在しないからだ。
 祭りの時に伝統音楽とされるものが演奏されてはいるが、人々が喜ぶ音楽は海外のものが中心だ。
 だが新しい王国となり新しい歴史と文化を創り出して行く、我らが女王陛下はそう考えておられる。
 過去の歴史は創作して行くことになるのだが…。

「シェリルは作り話で二国間の関係を築き上げるつもりなのよね、そこに事実が無くても良いのかしら?」
「ああ、シャルロットが思う所は分かるよ、でもアビュニス王国は兎も角、ここは正式な国家でさえない王国だろ、結局お話の中の王国と同じなのさ。
 森の中で建設を進めているエリアも、現実離れした環境を観光客に味わって欲しくて始めたのだから、現実離れした歴史が有っても良いとは思わないか?」
「そうね、観光客が求めているのは真実かどうかでは無く日常と違う楽しい空間、そこをどう演出して行くかでリピーターの人数が変わるのかな。
 新しい神話は教育的要素を入れた絵本にと、絵本の世界を体験出来たら楽しいかも。
 シェリルは森の中のエリアのことも知っていたのでしょうね、この先の展開を考えたらもっと連絡を取り合うべきではないかしら。」
「だな、二つの王国を核にして、いや、遠江王国も含めた三つの王国を核に世界の弱小国が手を繋いで行く、そんな展開を我らが女王陛下は望んでおられるのだと思わないか?」
「そうね、小さい国だと自前で生活に関わる全てを賄えなくて輸入に頼らざるを得ない、貿易のバランスが取れていれば良いのだけど…。
 一つ一つの国は小さくても集まることで力を持つことは出来ないかしら。」
「アビュニス王国を誕生させる取り組みを知って、我々との結びつきを作りたいと考える国が増えてるとは聞いているが。」
「どの国もお金が欲しいのだろうけど、予算には限りが有るのよね。」
「でも、アビュニス王国は国の規模が小さいこととホテル関係が上手く行きそうで、建国祭からのイベントを成功させられたら、かなり余裕が出来そうな気はしてる、他の国でも比較的短期間で回収出来そうな投資案件なら考えてみるのは有りかもな。」
「大きな投資の前に、まずは会社の支社を置く所から始めれば良いのよね。
 支社が協力し合いながら競い合って結果を出してくれたら、国家改革までは行かなくても地域の改革は出来るかも、共和国内王国の形はその国の政治家次第だけど、この王国が共和国の経済を引っ張ってることは理解されつつ有るのでしょ。」
「政治家では無く企業が引っ張る社会、政治家にしろ企業にしろ私利私欲でことを進めたら残念な結果になりそうだけど、それとは無縁の我らが女王陛下が統治すれば、より良い社会が見えて来る。
 その辺りの理解を広めて行きたいと思うよ。」
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