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近衛予備隊-228 [高校生バトル-65]

 俺達の村は何も無い所からのスタートだったが、今度王国になる国はホテルだけでなく店もそれなりに有り、プリペイドカードシステムへの移行には手間が掛かる。
 それでも国の経済が破綻するかも知れないと思っていた人達は、詩織女王に統治して貰えることを感謝し、そこに至る手間を受け入れた。
 売上の少なかった店は内外装のリニューアルを行いプリペイドカードシステムを導入し新会社の一部になる、そんな作業が国中で続いているそうだ。
 一方、シェリルは…。

「詩織、王国の誕生に合わせて、鳥を愛する女神を題材とした神話が作られたそうですね。」
「ええ、シェリルは中々の策士、国名を海を渡る鳥と言う意味のアビュニスにしたいと提案が有ったことは知ってるでしょ。」
「ええ、何でも現地の昔の言葉なのだとか。」
「実はそんな言葉はなくて全くの作り話なのよ、古代エジプトのアヌビスに語感を似せたのだけど別の意図が有ってね。」
「えっ、作り話だとは教えて貰っていませんでした。」
「アビュニスを英語表記するとABで始まるでしょ。」
「はい。」
「国連加盟国をアルファベット順に並べた時一番上になることを意識してのことなの、だから敢えて正式英語表記にKingdom ofを付けないでおきたいと、でも公式で無い時はKingdom ofを冠して王国であることを強調したいと話してたわ。」
「う~ん、どれほどのメリットが有るのか分かりませんが、少しは目立ちますかね…。」
「小さなことと思えるかも知れないけど、そんな積み重ねが大切なの。
 新しく作られた神話だって、新しく作ったなんて言わなくて良いでしょ。
 神話に登場する岩はただの大きな岩なのだけど、神話に登場したことで意味を持ち、観光客が訪れる、そんなことは昔からやられて来たことなのだけどね。」
「作り話がですか?」
「今だって、ドラマやアニメに登場した土地を訪問して作中に人物に思いを馳せることが観光に繋がってるのよ。
 だからシェリルは新しい神話の中に愛し合う男女が結ばれた場所や失意の時に訪れ勇気を貰った場所とかを盛り込んでるの、新しい名所にする為にね。」
「観光資源を増やしていると言うことですか?」
「ええ、彼女は日本のクリエーターに向けてアビュニス王国を題材にして貰う方法を相談して来たわ。」
「積極的なのですね、自分も負けていられないです。」
「ふふ、競い合って欲しいわ、彼女は観光以外の産業も意識しているからね。」
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