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近衛予備隊-209 [高校生バトル-63]

 自分が遠江王国王家の一員になると言う話を初めて聞かされた時は荷が重過ぎると感じた。
 王家の人達は只の経済人ではないからだ。
 自ら起業しそれを大企業に育て上げた人は世界中にいる、だが彼らは社会的弱者の救済や地方都市の活性化を進めながら企業を拡大、更に小国の再建にも取り組み始めているのだ。
 いずれは自分がその国王になる可能性を含めての話を気軽に引き受けることは出来ない。
 村長になったのは、近衛予備隊で学ぶ内に村の改革を進めたいと考え、近衛隊と村人達との橋渡しが出来ればと思ったからだが、村長と国王ではレベルが違い過ぎる。
 それでも近衛隊のエミリーから…。

「ジョンとはリーダー論について少しだけ話し合ったことが有るけど、トップリーダーには色々なタイプが居るって理解してる?」
「ワンマン社長や部下の意見を尊重する社長とかですか?」
「ええ、ただ、組織にとってより良いトップリーダーは組織の構成員によって変わると思わない?」
「う~ん、構成員…、構成員の資質によってと言うことですか?」
「そう、主体性に欠ける人ばかりの組織ならワンマン社長が理想かも知れないし、有能な人が揃っていたら、トップリーダーは黙って見守っているのが理想だと思うのよ。」
「あっ、自分達の組織は…。」
「詩織さまを中心に、遠江王家の日本国外展開を押し進めている私達近衛隊には有能な人が揃ってると思うでしょ。」
「はい、プリンセス詩織に仕えたいと集まった人達は能力が高いだけでなく優しい人ばかりです。」
「その近衛隊のメンバーは、どんな人がトップに相応しいと考えているか、分かる?」
「勿論プリンセス詩織の様な人ですよね、えっと…、チームリーダーに多くを任せているけど、ここぞと言う時には的確な指示を出す…。」
「ジョンは、村長として部下に任せられた?」
「はは、自分には知識も力も足りていませんから、近衛隊の皆さんに頼るしかなかったです。
 村長が判断すべき所を的確に判断出来なかったら選んで下さったプリンセスに申し訳ないですから緊張感を持って取り組んでは来ましたが。」
「私達は詩織さまが女王となられることになり、改めて自分達と詩織さまや遠江王家の方々との関係を考えているの、主従関係とかね。」
「主従関係なんて現代的ではないと思いますが。」
「でも、私は詩織さまの家来になりたいと思ったし、近衛隊に加えて頂いて忠誠心と言う言葉の意味を初めて理解出来たと思うの。
 今は詩織さまだけでなく詩織さまの想いによって作られて行く王家に対しても忠誠を誓えるわ。
 ジョンが王家の一員になってくれるなら尚更ね。」
「エミリー、自分には荷が重いと感じているのですが。」
「何のために近衛隊が居ると思ってる?」
「えっと…。」
「近衛隊は詩織さま、そしてこれから王家の一員として引っ張ってくれる人達の負担を軽減する為の存在なのよ。
 そして、ジョンは村長としての活躍から、近衛隊メンバーからも王家に相応しいと認められている。
 私達の可愛い弟であるジョンのことはみんなで守って行く、だからジョンが心配することなんて何もないのよ。」
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