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近衛予備隊-159 [高校生バトル-58]

「英語キャンプか…。」
「香菜、私達の村でも教育キャンプを実施出来ないか考えていてね。
 もしキャンプをするとしたら何に気を付けたら良い?」
「兎に角、火です。
 キャンプでは火と人間の関りを見つめ直すのですが、便利な火でも使い方を誤ったら大変なことになります。
 主催者サイドは初心者に対し服装に関する注意を事前にしているのですが、毎回初心者の内何人かは火に弱い化学繊維の服や、軍手では無く化学繊維製の手袋を持って来るのです。
 用意は親がしてると思うのですが情けなくなりますね。」
「説明を読まない親がいるのかな?」
「だと思います、そんな子は火の近くに行かせないのですが、それでも野外活動に向いてない服装なので服に穴を開けてしまったり、先輩方は親の教育が必要だと笑っていますが。」
「分かるよ、村人の中にも理解力の低い大人がいてね…、やはり安全教育は重要だよな。」
「はい、今日の理科は身近な危険をテーマに実験することになっていまして。
 古着を火に近付けてどんな服がどんな感じで燃えるのかを確認したり、混ぜるな危険、と書いて有る意味を実際にここの安全学習広場で試してみます。」
「成程、言葉では理解していても真面目にルールを守っていると実際どんなに危険なのかが理解しにくいかも、そんな実験をする学習、日本の学校ではどこでも普通に行われているのかな?」
「先生、どうなのです?」
「はは、全部香菜ちゃんに任せておけば大丈夫かと思ってた見てたよ。
 そうですね、日本の理科教育の現場では、そもそも子どもに実験をさせなくなって来てるのです。
 理科教育を考えたら根本的に間違っているのですけどね。」
「どうして実験をさせないのですか?」
「教師の力量不足や大学入試に向けた偏向的な学習カリキュラム、安全面での不安を言い訳にしている所も有ります。
 根本的に理科で行う実験の意義を理解出来てない人が多いのですよ、教育界でさえ。」
「実験を行う意義ですか?」
「調べれば分かる、ネットで映像を探せば出て来るかも知れませんが、それらは実際に目の前で起こってることではないのです。」

 先生は理科教育に於ける実験の重要性を熱く語ってくれた。
 自分も近衛予備隊に入隊してからの学習過程で体験した実験は印象に残っている。
 実験とは言わないが調理することも実体験をすると言う意味で実験に通じるところが有ると思える。
 そう考えてくと、職業訓練も同様なのかも知れない。
 体験を伴う学習とそれを伴わない学習、教育キャンプの目指している所が少し見えて来た気がする。
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