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近衛予備隊-156 [高校生バトル-58]

 管理棟まで案内してくれたのは香菜、中学一年生。
 今日は理科の学習と調理実習で、リニアモーターカーの終着駅とキャンプ場間の往復は体育の授業として扱われるそうだ。
 ルーシー達と落ち合った後、案内をしてくれる指導員の提案で香菜達の調理実習を見学させて貰うことに。

「香菜、ここの施設はよく使うの?」
「はい、学校からは月に一回程度、小学校の高学年からは宿泊学習も有りますが、それ以外に土日や夏休みを利用してサークルの合宿でも利用させて貰っています。」
「サークル?」
「私は花の街作戦に参加している第十七花壇サークルに所属していますので、その仲間と花壇造りに関する学習と親睦会を兼ねて合宿をしたり、他にも色々有りまして。」
「へ~、中学生ばかりで?」
「いえ、花壇サークルには小学校高学年からお年寄りまで色々な人がメンバーがいます。
 うちにはお菓子メーカーがスポンサーについてくれていますので、お菓子目当ての子もいるのですが、私達の管理している花壇は評判良いのですよ。」
「うん、遠江王国に来て驚いたのは綺麗な花壇の多さだ、サークルには多くの人が参加してるのかな?」
「ええ、多過ぎるぐらいの方が個人の負担が少なくて済むからと、どの花壇サークルも人数制限をしていません、私は正式なメンバーになる前から、学校の行き帰りに見頃を終えた花を摘み取っていたのですよ。」
「お金が掛かってると言うより、多くの人の手間が掛かって綺麗に維持されているのだね。」
「お金は…、花の街作戦が始まった頃は予算の確保に苦労したと聞いていますが、直ぐに参加者が増えスポンサーが名乗りを上げたそうで、花の街と綺麗な森の存在は、遠江王国の誇りだと聞かされています。」
「そうだね、森の管理も行き届いてると感じたが、ボランティアの力なのかな?」
「はい、私達は王家の方々から王国内全ての土地は国民全員の庭だと聞かされています。
 自分ちのちっぽけな庭のことしか考えない人もいるそうですが、多くの国民はこの森も自分達の庭だと考えています。
 自分の庭だからと森の中の遊歩道を利用する人は多いですし、散歩中に気になる箇所を見つけたら声を掛け合って整備しているのです。
 去年、台風で山のあちこちが荒れてしまった時には多くの人が補修作業に参加して、台風の前より道が良くなったのですよ、その作業中は皆さん声を掛け合い、持って来たお弁当を分け合い、私はお手伝いをしていて楽しかったです。」
「素敵な国を支えているのは素適な国民なんだね。」
「ふふ、あっ、そこが私達の調理スペースです。」
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