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近衛予備隊-154 [高校生バトル-58]

 キャンプが気になったのは、村に出来たキャンプ場の存在にもよる。
 元々観光客向けのキャンプ場設営計画が有った所に、プリンセス詩織が鳥と戯れる映像が広まり、鳥類研究家の為に整備作業を前倒ししたキャンプ場。
 今では観光客向けコテージなどが整い、まずまずの利益を出しているのだが、俺はコテージが建ち始める頃までキャンプ場とはホテルの一種だと思い込んでいた。
 その頃自分達が住んでいた家より、テントでさえ快適な住まいに思えたからだ。
 おかげで、キャンプを趣味としている近衛隊メンバーが、話の流れから俺の勘違いに気付いた時には、本当の野営とは何かと言う講義をみっちり受けさせられることに。
 でも当時の俺達は彼の言う所のキャンプ生活とあまり違わない暮らしぶり、野営の経験も無かったので、わざわざ電気の使えない生活をする意味が分からなかった。
 ただ、完成したキャンプ場は、シャワーやトイレ完備の立派なコテージが建ち並び、冷蔵庫などの家電品を利用することが出来ると言う充実ぶりで、当時講義をしてくれた彼は、あそこはキャンプ場と言う名のホテルだと残念そうに話してから、キャンプの話をしなくなったのだった。

 結衣の案内で訪問することになった遠江王国の国立キャンプ場も、立派な宿泊棟が建っているそうなのでホテルタイプのキャンプ場なのだろう。
 ルーシーは車で結衣と共に直接現地まで、俺とシャルロットは途中から森の中のハイキングコースを歩いて行くことにした。

「この辺りは人工林なのね、私達の村とは随分雰囲気が違うわ。」
「手入れされているし木の種類も違うからな、冬は寒いから木の成長が遅いそうだ、その代わり材質は良いそうで条件が良ければ何百年も持つのだとか。」
「村の建物は傷むのが早かったものね、今度の新築はお金が掛かってるから長持ちしそうだけど。」
「技術的な差も有るらしいよ、何百年も前に地震に強い構造の建物を建てられたのだからな。」
「そう言った技術力の差が今にも影響してるのかしら?」
「多分な、それでも日本には日本なりの問題が有るのだから、そこを学びながら俺達の村を良くして行けば良いのさ。」
「すでに随分良くなったとは思うけど。」
「でも、自力ではないだろ、だから周辺に住む人から羨ましがられても、簡単には広げられない。
 色々積み重ねて行かないと国は良くならないのに、どこかで間違えて治安の悪い国になっていたからな。」
「村長としては村を広げたいと考えているの?」
「いや、その必要はないだろう。
 ただ、地方自治体の財政が健全になって日本の様なシステムを確立させたいとは思う。
 なあ、シャルロット、日本では千年以上前に税制を始め国を運営する形が出来ていたそうだが、千年前の我が国はどうだったと思う?」
「う~ん、良く分かってないのよね…、もし猿レベルだったら少し悲しいかな…。」
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