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近衛予備隊-146 [高校生バトル-57]

「結衣、自分は未来型の実験都市について少し勘違いしていた様です。」
「どう思っていたのです?」
「便利なのだろうけど、もっと無機質な都市をイメージしていました。」
「将来的に人間が変わって行くのであれば、そうなる可能性は否定出来ませんが、今の人類がより幸せに暮らせる環境を考えたら木などの植物は私達にとって身近な存在で有り続けると思いませんか?」
「ですよね、東京で感じた息苦しさは人々が利便さを追い求めた結果だと思うのですが、こうして実験都市の先端技術が自然と共存している遠江王国を見せて貰ったことで、東京の様な大都市が人間にとっての理想ではないのだと気付かされました。」
「人ごみを好む人にとっては東京が理想的な場なのかも知れませんが、私達は緑豊かなこの地を理想郷にしたいと考えているのです。」
「理想郷ですか…。」
「現実的では無いと分かっているのですけどね。」
「それは…。」
「人間には満足出来る人と、満足出来ない人がいますが、人間社会が人類として進化して来たのは満足出来ない人のパワーによるものだと思います。
 どれだけの富を得ようが満足出来ない人の欲望は凄まじいものですから。」
「でも人の欲望は向上心に関わるプラス面だけではない…。
 難しいと分かっている理想郷への展開に、何か策は有るのですか?」
「精神面の充足を目指し哲学や宗教を研究するぐらいでしょうか。」
「生活環境は理想に近づきつつ有るのですよね?」
「王家が推奨する王国の国民としての在るべき姿は多くの国民に受け入れられていますのでそれなりには。」
「あるべき姿?」
「良き隣人で有ることなど市民として当たり前のことなのですが、尊敬される王家が誕生するまで人々は忘れていたのです。
 住みよい環境は心の豊かさが生み出すものなのですよ。」
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