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近衛予備隊-145 [高校生バトル-57]

 遠江王国を案内して貰うと、この地は東京と違った驚きと発見の連続だった。
 王国は日本国の一部でも有るのだが、両者は全く違う国だと思えるぐらいに街の風景が違う。
 東京ならアスファルト舗装されてる様な駐車場の路面に木材が使われている。
 木はアスファルトに比べ耐久性は劣るが痛んだら簡単に交換出来る工夫が施されているとのこと、その形状を工夫することで雨水をより多く地面に吸い込ませるだけでなく、夏場の暑さを和らげる効果も有るそうだ。
 また、その特性を生かしたアート作品も見受けられた。
 大企業が共同で作り上げた実験都市なので自然とは無縁の未来型都市をイメージしていたのだが、実際は豊かな自然に囲まれ、木がふんだんに使われている街並み。
 リニアモーターカーが走ってはいるが、その路線は木々に覆われた丘に見え、昔の宿場町を再現した区画に面する駅が有ったり、山に近い駅の近くにはログハウス風の建物が並んでいたり。
 街中、いや国中が木をテーマにした観光施設として機能しつつ、新しい交通システムを紹介する場ともなっている。

「結衣が心を豊かにしてくれる綺麗な街並みと言っていた意味がようやく分かったよ、落ち着いた雰囲気の街並みは心を落ち着かせてくれるね。」
「そうね、単に昔の街並みを復元したのではなく人が利用し易い様にアレンジしたそうだけど。」
「ねえ、結衣、こんな街並みを維持するのはコンクリートばかりの街より手間が掛かるのでしょ?」
「かも知れないけど、頻繁に修理する必要が有る訳では無く…、街は元々生きていますからね。」
「生きてる?」
「街は人と同じで新陳代謝が必要です。
 ですから何時もどこかで工事をしています、工事の少ない街は活気を失って行くでしょう。」
「そうね…、プリンセスの事業が始まるまで私達の村で工事と言えば道路の簡単な補修ぐらいだったかしら。」
「それも道路が使えなくなりそうになった時に仕方無くだったな。」
「木材を活用する街造りを考え始めた時は木材と言う素材に対して偏見が残っていました、コンクリートやプラスチックの便利さには劣ると考えられていたのです。
 しかし、木材と真正面から向き合った時、私達はコンクリートやプラスチックには無い可能性に気付かされたのです。」
「可能性?」
「プラスチックの様に様々な形を創り出すことは出来ないかも知れませんが、例えば簡単な道具を使うことで子どもでも加工出来るのですよ。」
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